すばらしい本との出会い 読書は平和への祈りと神ご支配への感謝

すばらしい本との出会い
玉木 功
日本バプテスト連盟 東山キリスト教会 牧師
日本クリスチャンペンクラブ 副理事長

 「数々の書物が開かれた。また、別の一つの書物も開かれたが、それは、いのちの書であった。」(黙示録二〇・一二)

 今回、私はタイトルを「読書は平和への祈りと神ご支配への感謝」とつけました。私はどのような本を読んでも、このような思いに立っています。例えば今、日野原重明先生の『現代医学と宗教』(岩波書店)という本が手元にあります。三年前に息子の真一から贈られたものです。当時もそして現在も「読書は平和への祈りと神ご支配への感謝」だとしみじみと感じつつ、この本を読んでいます。私の読書傾向はこのタイトルそのものといえるでしょう。

 もちろん他の本は絶対に目にしないという姿勢ではありません。たとえば今秋話題になり、今も残された問題となっている北朝鮮に関する本に対する触手はあります。たとえば『北朝鮮という悪魔』(光文社 青山健煕著)という本を九月に読みました。実態を知り正しい認識に私自身が立脚したいためです。神さまのご支配と北朝鮮の国内に生活している民のために祈っています。

 読書は未知を解放し、地球をかけめぐり、宇宙まで私たちを導いてくれます。自分を教えてくれるだけではなく、他の人の心、生活、精神の活動を知らせてくれます。魂の旅行です。国内旅行、海外旅行のように多種多様な体験をさせてくれます。

 そして何よりも感謝なことは、神の深遠な働きと豊かな愛を知ることができることです。私にとって最大の喜びは読書の中で神さまと出会えることです。痛苦の中で、困難な中で、不信と絶望の中で神さまに触れ、感謝の心をもって神を語っている人との出会いは読書の醍醐味です。また不遇な人々の現状に対しては平和を造りだすものとしての祈りを熱くします。

 ここに金子みすずさんの詩集があります。ペン友の西山純子さんの影響もあり、今年の前半はみすずさんの詩を熟読しました。薄幸な詩人の深遠な思いに触れ、読書の妙味を体験しました。彼女はクリスチャンではありません。しかしイエス・キリストに出会っていたらと思うことが詩を読む度ごとに私の脳裏には存在します。しかし彼女は人間を超えた存在を感得していました。

 蜂と神さま
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに、
そうして、そうして、
神さまは、
小ちゃな蜂のなかに

 みすずさんの詩の圧巻は周囲の動物植物の視点で、人間のはかなさ、冷酷さ、原罪を指摘しています。そして神の大きな愛を讃えています。別の言葉でいうと、その詩は神さまを示しつつ、人間の原罪をやさしく声にしています。彼女の詩の世界に導かれて、私は聖書の神さまの深い愛、イエス・キリストの十字架の福音をなお確信することができました。クリスチャンに導かれたわが身を主に心から感謝しました。全世界で千五百万部を突破した本があります。日本でも百万部を突破したといわれています。『7つの習慣』(キングベアー出版)。著者はスティーブン・コヴィー氏です。ある実業人は「本書は世界の貴重な財産。二十一世紀に向かって大きく変貌しようとしているわが国に、良き道標となることを期待している」と書評しています。

 実に魅力にあふれた本です。リーダーとしてのマネジメントの指導書です。周囲、家族などの人間関係を築くための方法を、根本的な哲学なるものを教えてくれています。また次のようなことも強調しています。「忘れていた人間本来の温かさを取り戻し、本当の喜びを生活の中で味わえるようになる」と。

 コヴィー氏は息子のことで悩みます。彼を何とかを助けたいと必死になります。前向きになるように励まし、彼の行動を改善させようとしました。しかしすべての努力は失敗でした。あることに気がつきました。ある種のレンズを通して見ていることに。そのレンズが自分たち両親の世界観を作り出し、行動を方向付けていたことに気づいたのです。

 そしてまず自分たちを変えなければならないことを悟りました。一歩離れて息子の本来の価値を感じ取ることに努力しました。息子を肯定し、愛し、成長を楽しむことに力点を置きました。その答えがやがて与えられました。氏は聖書の言葉を引用しています。

 このコヴィー氏の本を読んでいる時にも私は聖書の言葉、その真理に自然に導かれました。「それは、いのちの書であった。」(黙示録二〇・一二)まさに聖書は書物の中の書物なのです。