エクレシア
――欧州に集められた
神の家族を訪ねて 第8回 芸術を通して聖書から福音を伝える―フランス・ストラスブール

内村伸之
ミラノ賛美教会牧師

ストラスブールは、フランス北東部のライン川左岸に位置し、欧州評議会や欧州人権裁判所、またEUの欧州議会の本会議場を擁するEUの象徴的な都市の一つです。この街には多くの日本人留学生が学んでおり、2008年から私が学生を対象にバイブルスタディを開始し、今年の5月30日で第20回目を迎えました。そのきっかけは、ストラスブール大学に交換留学に来ていた一人の日本人留学生が、その地で知り合った日本人たちと聖書の学びをしたいと願ったことでした。世界中の大学生や研究者がここに集い、専門性の高い学びをしていますが、その時に初めて日本では公的な教育機関で聖書について学ばなかったことの特異性に気付くのです。
初めのうちは、4―5名の日本人留学生を対象に、基礎的なグループ・バイブルスタディをしていましたが、この学びが日本人留学生の間に口コミで広がり、今では20名ほどの人々が集っています。
参加者の中には、ストラスブール音楽大学の学生もいます。宗教に関わりたくないが、聖書が解らないと宗教音楽や芸術全般について真の理解が出来ないと感じて参加したと話してくださいました。
そこで、特定の宗教観を押し出す伝道集会のようなカラーではなく、彼らが欧州の地で触れ、学んできている芸術を切り口にして、聖書が語る福音を伝えるアプローチにシフトしていきました。ここ数年はヘンデルの「メサイア」やバッハの「マタイ受難曲」の歌詞にある聖書の御言葉を解説しています。また、レンブラントの遺作である「放蕩息子の帰郷」をひもときながら、当時の芸術家たちがどのように福音を理解し、頭で理解するだけではなく、心で捉えて芸術表現として昇華させていったのかを、音楽を聴いたり、美術作品を鑑賞しながらお話ししています。参加者も留学生だけでなく、近隣に暮らす多くの日本人たちが集っています。どうか、このような人が聖霊の導きによってキリストに出会い、イエスが主であるとの告白に至るようお祈りいただければ幸いです。