ブック・レビュー 『イエス・キリストの受難』

『イエス・キリストの受難』
関根 一夫
単立 ミッション・エイド・クリスチャン・フェローシップ 牧師

イエスの受難によって私たちに何がもたらされたのか、その50の理由

 映画「パッション」が「キリストの受難」を映像で提示している中、その聖書的な、神学的な内容の確認、説明のためにすばらしい本が翻訳されました。

 まさにこの一冊です。

 まえがきに、「イエス・キリストの受難」そのものの説明と問題提起が書かれています。そして、本編では、イエス・キリストの受難に関する五十の目的が書かれています。

 十字架という受難によってキリストが何を私たちにもたらしたのかということが五十項目に分けられ、簡潔に、しかしわかりやすく、しかも、聖書の裏づけに基いて書かれています。

 十字架に関するこれほど簡潔に五十項目挙げられていると、次のページに読み進むのが待ち遠しくなる感じがします。それはどのページにも十字架によってもたらされる希望がしっかりと語られているからです。

 もちろん、十字架のもたらしたものは五十項目で終わりなどということはないでしょう。しかし、これらの項目に掲げられていることひとつひとつを丁寧に理解し、それらの内容を心にしっかりと留めることができたら、それは私たちの人格的、霊的成熟ともつながるに違いありません。

 個人のデボーションの資料として読みつづけるのも良いかもしれません。聖書研究会の資料としても間違いなく使えます。十字架に、どういう意味があるのかもっとよく知りたいと思っているすべての人たちに絶好の良著です。

 この本をクリスチャンが読んでしっかり理解できたら、教会は変わるでしょう。また、同時にクリスチャンの人間的な魅力も増してくるにちがいありません。喜びと希望の源がそこにあるからです。

 著者の神学的な聖書の理解度の深さを感じる本でもあります。安心できるすばらしい本です。心からお奨めします。