ブック・レビュー 『オペラな日々』

『オペラな日々』
森 祐理
福音歌手

さあ、「オペラな日々」を始めませんか?

 さぁ、オペラの開幕です。えっ、どんな演目ですかって? それは、あなたのために書き下ろされた特別な演目です。「オペラは少し難しくて」とおっしゃる方も、きっと引き込まれていく内容。だって「オペラ」は、「オプス・デイ=(神のわざ)」という語から来ているそうですから。聴いて、見て、触れて、感動して……人の五感すべてに働きかける神のわざ、それがオペラだと知ると、どうしても観たくてたまらなくなるでしょう。

 この本は、序章から始まり、春夏秋冬の各章が続きます。でも、冬で終わりではなく、さらに新たな春の章があり、終章で幕を閉じられるのは、読む者になんと希望を抱かせることでしょうか。

 各章の冒頭には、表題ではなく音楽表現記号がおかれ、章全体のテーマと霊的な意味を示していることも、スマートでとてもわかりやすい演出です。そして、思わず二重丸を付けたくなるような珠玉の名言がちりばめられています。歌にとって一番大切なことは「息の流れ」。その息とは「霊」。歌は「祈り」。休止符の取り方で音楽は決まる、静思の取り方で人生が変わっていくなど……。音楽を専門になさる方も、そうでない方にも、興味深く納得させられる内容。何より、霊的にも、呼吸や言葉、リズム、空間、こぶしに至るまで神様はこんな深い意味を与えてくださっているのか! と教えられます。

 音楽や芸術を通してだけでなく、日常の身の回りの事柄に至るまで、とても自然に豊かな神のわざに気づかせてくれる文章は、著者ご自身がすばらしいオペラ歌手であり、音楽伝道者であるがゆえに紡ぎ出される言葉なのだと思います。「オペラな日々」……それは、神のわざが満ち*れる日々。そしてその主役はあなた自身なのだと思います。

 この本を閉じれば、新たなオペラの開幕です! 最高の演出家である父なる神の御手に導かれながら、世界にひとつしかないあなたの人生の作品を築き上げてほしい……著者の言葉が歌となり、祈りとなり、今も心に響いています。