ブック・レビュー 『ナザレのイエスは神の子か』
「キリスト」を調べたジャーナリストの記録

『ナザレのイエスは神の子か』「キリスト」を調べたジャーナリストの記録
みなみななみ
イラストレーター

うやむやにしていた「疑問」に指針を与える。頭と心と魂におもしろい

 おもしろい! とにかく読んで欲しい! 今まで読んだ本で、これほどひとりでも多くの人に読んで欲しいと思った本は聖書の他にありません。

 聖書は本当に信頼に足る書物なの? だいたいなんでこれが聖書ってことになったの? 伝説とか作り話とかが入ってないの? そもそもイエスは実在したの? クリスチャンになりかけの頃抱いたそんな疑問の数々、そして明確な答えも得ずにうやむやにして、でもまあ神様いるわけだし、いいじゃんもう。で終わらせていた疑問に答える適切な資料と考える指針を与えてくれる本。しかも通り一遍のうわっつらの答えではない。

 シカゴ大手の新聞記者がジャーナリストの視点から(インタビュー当時は信仰者でなかったので、クリスチャン的自己満足の質問ではなく)自分が納得できるまで、つっこんだ質問をその道に精通した学者たちにしていく。頭と心と魂におもしろい。

 私の頭では難しいかなというところも正直あった。でもそれも飛ばさずにゆっくり読んで行くうちに会話に引き込まれて行く。そう、ここに書かれている歴史的、考古学的、医学的、心理学的、など聖書の信頼性や実在のキリストとは? の理論は、味気ない無機質な学術論文ではない。分かりやすく説明してくれる人物と、コーヒーを片手にリビングルームで向かい合って話を聞いているみたいな気分だった。

 そして読みながら、私が良く考えもしないで信じた聖書と神様の裏付けがこんなにしっかりしていたことに今さら驚く。時々私のすぐそばでイエス様がニコニコしてるって感じがしたのは気のせいか。クリスチャンは自分の信じているものをさらに正しく理解し、弁明できる準備をするためにこの本を。そして聖書の歴史的背景や事実関係をもっと知ってからじゃないと信じられないと言う方々には絶対!読んで欲しい。激お勧めの一冊、待望の日本語訳。