ブック・レビュー お茶の時間にでものんびり読める多彩なエッセイ

 『こころのこまど』
鷹取裕成
チャペル・こひつじ牧師、プレイズ・チャペル・いずみ兼任

ホサナ・キリスト教会牧師、辻川宏さんの『こころのこまど』が出版されました。辻川さんのことはかなり前から、同じ堺市内の教会の牧師ということで存じていましたが、親しくなったのは、その教会を退職して、三国ヶ丘駅前で現在の教会を始められてからでした。
ゼロからの開拓伝道で援助もなく、ホサナ印刷を開業して必要をまかない、日曜日にはその場所で礼拝をするというように自給伝道をしておられました。ひとり、またひとりと集う人たちが加えられ、温かい教会ができています。私も近くで同時期に開拓伝道をしましたので、親近感を持ち、メッセージをお願いしたり、いろいろ協力し合っていますが、とても輝いておられるように思います。
さて、本書は軽くさわやかなエッセイで、とても読みやすいものです。どのページにも、辻川さんの長い人生と信仰がにじみ出ていて、聖書の話あり、経験談あり、生活の知恵あり、家庭訓あり、トリビアあり、音楽の話あり、科学の話あり、動物の話ありとバラエティに富んでいます。
その中で、心に残ったものをひとつご紹介したいと思います。「お金より大切なもの」というテーマで、生家で金銭問題に悩まされた自らの経験を語り、アルネー・ガーボルグによる「お金」という詩と、お金の恐ろしい魔力についての聖書のことばとして、テモテへの手紙第一6章7~10節を挙げています。
「お金で食物を買えても お金では食欲は買えない。
お金で薬は買えても お金では健康は買えない。
お金でベッドは買えても お金では安眠は買えない。
お金で知識は買えても お金では知恵は買えない。
お金で化粧品は買えても お金では美しさは買えない。
お金で快楽を買えても お金では喜びは買えない。
お金で友達を得られても お金では真の友情は得られない。
お金で使用人を雇えても お金では彼らの忠実さは得られない」(七〇頁)
午後のお茶の時間に気楽に読まれてはいかがでしょうか。