ブック・レビュー 神を信じる生き方に
自信と可能性を見いだす一冊


安藤理恵子
玉川聖学院 学院長/日本神の教会連盟 練馬神の教会 牧師

「私はキリスト教を選んだけど、別の生き方でも幸せな道はたくさんあると思う。」「クリスチャンホーム出身だから私は自然に神を信じられたけど、そうじゃない普通の人にとっては、特別な試練で悩む場合以外には信仰を持つ根拠などはない。」「聖書は信仰の書物なんだから非科学的な記述があるのは当然で、その種の議論をすると求道者に聖書の不完全性に気づかせて躓かせてしまう可能性がある。」……これらはすべて聖書の主張とまったく違う意見なのですが、にもかかわらず多くの信仰者がこのように信じ、キリスト信仰を個人の心の問題にとどめてしまっています。本書はそんな私たちに、神を知る者としての本来的な自信を回復させ、世界を神のみこころに従わせていくべきキリスト者の使命に目覚めさせるものです。
内容は、現代アメリカの知識人によるキリスト教に対する嘲笑と攻撃を背景に、科学と理性に立って神の存在の確かさを証明したものです。初心者にもわかりやすい言葉で最新の科学の論点が説明されていて、時代遅れでない議論を知ることができます。
物理学、遺伝学、生物学、哲学等の権威たちの決定的証言を知ることで、キリスト信仰があらゆる学問分野を牽引する世界観であることに気づくでしょう。本書によって励まされた読者は、聖書に熱心になるだけでなく、自分に与えられた学問や技術を究めることによって主を知り宣教していく可能性に目覚めることでしょう。さらにブルークスは、聖書の信頼性やイエスの復活の事実性についても丁寧に論証し、無神論からの回心者の体験談を紹介することで、人生や信仰について他者と語り合うための材料を惜しみなく提供してくれています。
本書は、キリスト信仰をその名にふさわしく深めることを願う人は誰でも一度は頭に入れておくべきものですが、特に青年や彼らを育成する立場にある方々には必須です。