ブック・レビュー 聖書の真理を思い出させてくれる24個のキーワード


みなみななみ
イラストレーター

「キミは神様に選ばれてる! そのことを、キミが信じられなくっても。ちっぽけで、弱虫で、迷ってばかりでも……。」(二二頁)そうだ?!と、ちっぽけな私の心にストンと落ちてきた聖書からの応援メッセージ。そして、例えばERABI。一瞬で聖書の真理を思い出させてくれる24個のキーワード。
愛情たっぷりの本だ。読者である「キミ」が、試練の中でも、真実に正しい道を見いだせるように、「キミ」に神さまが用意してくださっている希望の道を歩んでほしいという祈りが伝わってくる。キリスト教系学校の宗教主事が著者だと知り、納得。自分が中高生の頃、こんな風に祈られ、聖書からの指針を教えてもらえたら、幸せだったろうなと思った。
ティーン向けで分かりやすい表現だが奥は深い。マリアさんのように「神さまの選びの中にある自分だから」(二〇頁)謙虚に研鑽を積み、ナオミさんのように「神さまの愛があることを信じて、自分の今をしっかりと生きる」(一一六頁)など、聖書から人生の指針を見つけていく。マルタ、サラ、アンナ、異邦人や病を負った名もない女性など、24人の悲しみや喜び、恐れや勇気、神さまとどのように向き合っていったかが、尊敬と愛情のまなざしで丁寧に描かれている。それは、迷いながら人生を歩き始めたばかりの心に優しく語りかける。
ティーンばかりでなく、五十過ぎて「もーいいや」と諦めがちの私にも、「自分の人生に対して、『諦めという態度』で向かうのか、『神さまとの出会い』によって……諦めを排除されて生きるのか」(四一頁)と、エリザベトさんの物語は語ってくるのだ。私はおお!と背筋を伸ばした。
聖書場面のかわいいイラストがたっぷり。それに学校生活のスナップ写真のようなイラストがちりばめられている。現役学生なら共感!だろう。私は当時の気持ちがよみがえり、本の中の生徒の気分。チャペルで24のメッセージを聞き、応援をたっぷり受けて歩き始めた「キミ」の一人になった。