マメマメ人物伝 D・M・ロイドジョンズ

D・M・ロイドジョンズ 1920年代後半のロンドン、外科医としての輝かしい将来を捨て伝道者としての道を歩み始めた青年には、当時のキリスト教会の姿は理想的なものではなかった。

 彼の手記に、その教会の多くが、日曜日の礼拝に席の半分も埋まらぬ状況であり、説教者は職業化し、説教者か政治家か分らないような、混ぜこぜの道徳を語り、贖いの教理の代わりに心理学についての饒舌が幅を利かせていた、という状況が指摘されている。

 ロイドジョンズは、その教会の危機ともいうべき状態からの回復の道は、ひとえに、クリスチャンの聖書に対する態度にかかっていると考えた。

 「キリスト教会の浅薄さの原因は、聖書を真剣に取り上げないこと、聖書をありのままに取り上げないこと、聖書の語りかけを受け付けないことである」

(STUDIES IN THE SERMON ON THE MOUNT)

 30年にわたり、牧師として奉職したウエストミンスター・チャペルでの講解説教には、その聖書の魅力を何とか人々に伝えたいという熱い思いが込められている。