夫婦でつくる物語 神を証しする熊の一家

荒瀬牧彦
荒瀬牧彦
カンバーランド長老教会めぐみ教会牧師

 『のどか森のリトル・ジョイ』シリーズの絵本を読んだことのある方なら、「ジョイの一家」といえばその姿がすぐ目に浮かぶでしょう。勇敢で頑張り屋、しかも優しくて、幼いながらに蕫気配りの人﨟であるジョイ。カントリー風のワンピースをおしゃれに着こなす、お下げ髪のかわいいお母さん熊ベティ。堂々たる体躯、でも心だって大きく、言葉も常に穏やかなお父さん熊ジャンジー。

 日曜の朝、わたしたちの教会に柳川茂さん、ノアさん、立行君の一家がやってくると、本当に「のどか森」から熊たちが礼拝しに来たのではないかと思えるほど、そして思わずニヤニヤしてしまうほど、ジョイ一家と柳川一家はよく似ているのです(但し絵本から出てきたジョイ君は、時間の経過と共にぐんぐん育ち、今や大学生ですが)。
ジョイの一家
 昨年、わたしたちの教会の礼拝堂を使って、『リトル・ジョイ』と『ファーマーさんはみすてない』の原画展を開催し、近所の保育園の子たちからお年寄りまで、様々な方にノア・ワールドに触れて頂くことができました。原画を間近に見ると、画家がどれほどの労力と精魂をこめて一枚の絵を仕上げるのかということが伝わってきて、絵本の重さをずしりと感じます。会場では、ノアさんが来場者一人一人の傍らに立って、絵にこめた思いを語る姿が見られました。何とかして神さまの愛を伝えようと小さい体からエネルギーを注ぎ出して止まない、とても熱い人なのです。

 対照的に、茂さんは物静かで、時にオーバーヒートする(?)妻を冷静にサポートする夫ですが、うちに秘めた宣教への情熱は同じです。TVアニメの脚本で鍛えた筆力を生かし、文章を通して聖書のメッセージを伝えようと色々試みていて、教会の機関紙には「バイブル・ストーリー」を連載中です。

 お二人の世界の特長は、奇を衒うことのない素直さと、読者をそのまま抱擁するような素朴なあたたかさだ、と私は思っています。