往復メール shioya Vol.2 ドニーからもらったもの

塩谷達也
シンガー/ソングライター/プロデューサー JECA 西堀キリスト福音教会会員

 アメリカの黒人たちにとって、ゴスペルが日本で、クリスチャンでない人たちに愛され歌われているということは、すごい驚きなんだ。アメリカでは、クリスチャンが信仰の表現としてゴスペルを歌うのが当たり前だから、日本では教会の外でゴスペルがひとり歩きしていると聞くと、すごく励まされるって彼らは言う。そこにゴスペルの新しい力、神さまの計画を見いだしているんだろうね。

 ちょっとしたブームもあって独自の発展を遂げてきた日本のゴスペル。クリスチャンのミニストリーとして、音楽のジャンルとして、この国ではいろんな要素が一緒になって存在している。

 クリスチャンになる前から、ブラック・ミュージックは僕の一部だった。自分の魂の表現として、理屈ぬきにしびれる何か。そしてゴスペルは、彼らの文化の一番濃い部分だってわかっていたから、そのスタイルを日本人が真似することには興味がなかったし、ゴスペルは形じゃないって言い続けてきた。でも、いろんな葛藤の中で、ワークショップを継続していくうちに、ゴスペルは日本人のために神さまが用意してくれたプレゼントじゃないかって思うようになってきた。

 そんな中、ドニーのワークショップ。そこで見たのは、上質のエンターテイメントでも、効果的なアプローチでも、熱狂でもなく、僕らの葛藤や疑問を超えた主の力だったと思う。400人を超える人々が理屈じゃなく、ただただ聖霊に覆われてひとつになる。そして、その中心にいたドニーがだれよりも子どものようにまっすぐに主を愛し、畏れ、賛美し尽くす姿。何の言いわけも説明もないその背中は、神さまを知らない何百人もの参加者にとって、どんな解説よりもリアルにキリストを感じられた経験だったと思う。僕がドニーから学んだのは、キリストを伝える者はひとりの子どものようにキリストの前に立つ、ということに尽きる思う。だれかが必ずそれを見ていて、僕の知らないところで神さまが働いてくださるんだから。