神様がくれた風景 5 5月の庭

春の小川
やまはな のりゆき

5月のテーマは“庭とシャボン玉”。このお仕事をいただいた時からそう決めていました。シャボン玉は、俳句においては“春”の季語だそうです。語源であるポルトガル語の「さぼん」は石鹸の意味。17世紀初めに渡来し、子どもだけでなく、江戸時代には女性の間でも流行したとか。
わが家のお向かいの奥さんはシャボン玉が好きなようで、愛息と一緒にシャボン玉で遊んでいる姿をよく見る。わが家にも娘がシャボン玉を飛ばし、まだ歩き始めたばかりの長男がそれを追いかけているスナップ写真が残っている。女性と子どもと子育てとシャボン玉はつながっているのだ。
シャボン玉で遊んだ記憶をたどってみると、高く上がるその虹色の泡と一緒に見た空を覚えている。あれは昭和40年代の空だ。皆それぞれ、シャボン玉で遊んだ記憶には、自分の少年少女時代の空が一緒にインプリンティングされているはずだ。それはとっても貴重な画像だと思う。こんな楽しい絵を描いている時にはこの聖句が頭に浮かぶ。「いつも喜んでいなさい」。JOYである。実は以前、この絵と同じ構図の水彩画を描いてブログに載せたことがあって、それを見た方から「まるで天国のような絵ですね」とコメントをいただいたことがあった。うれしかったな。
僕の実家は北海道の小樽で、山側に位置する所に建っていたけれど、二階のベランダからは海を見ることができた。晴れた日には、遠い海が青く輝き、山から吹く風が家を駆け抜け、まるで海とつながるようだった。“天国のような絵”になったのはその体験のおかげだと思うのです。
今住んでいる横浜のわが家の庭がいちばんきれいなのも5月。海はないけれど、木の葉も大き過ぎずまだ若く、花も綺麗で庭全体の色のバランスがとってもいい。妻と一緒にガーデニングをしたり、子どもたちと一緒に庭で焼肉をしてみたり。5月の庭は僕にとってまさにJOY、幸福の構図なのです。