結婚ってすばらしいものですか? よいモデルを
よい将来設計を(後編)

石井希尚
『愚かな女は騒がしい。賢い男は珍しい』著者。

そうなんですか? なぜ結婚についての本を書くようになったのですか?

僕と妻の久美子が結婚するときに、いろんなことをアメリカで教えてもらって「そうなのか」と目から鱗だったわけ。ただ帰国後、僕ら夫婦にとても役だったことを、個人的に友人などにアドバイスしていたんだ。ある時それを知った人から、ぜひセミナーにしてほしいとお願いされ、そのためにアウトラインを作っていったんだ。もともと作詞作曲しているから用語をつくるのは得意だから。男はウルトラマンで女はシンデレラとか(7ページ参照)。それが出版につながった。

そして今のマレさんの働きの基盤となっているわけですね。

セミナーは、結婚の前後に安定収入があったほうがいいから、嫌だと思いながらやっていた仕事なんですよ、実は。ミュージシャンとミニストリーではお金にならないから。
もしあのころ、久美子のことをまったく考えずに、牧師なんて金のためにやるんじゃない、安定しなくてもいいんだと言ってセミナーをしていなければ今の自分の働きはない。
そして本が出版されていなければ、今の教会の非常に重要なスタッフの何名かとも出会っていないんですよ。彼らがいないと、うちの教会は成り立たない。今、教会に来ているメンバーには、本の読者がものすごく多い。本がなかったら出会ってない人は本当に多い。
そう考えると結婚してから明らかにいろんなことが実ってきている。結婚というものを通して神が祝福してくれた。冒頭で言ったようにエリアが拡大したというのはそういうことなんだよね。

結婚が人格を深め、エリアを拡大させると聞いても、なお結婚に希望を持てない人はいると思います。悪いイメージを払拭するためにはよいモデルを見る以外になにか方法はあるでしょうか。

見るだけではなく、個人的に接することがないと難しいと思うよ。
あと、将来自分がどのように生きたいのか具体的にイメージすることによって、若い時をどう生きていこうかということが当然分かってくる。
神から自分に与えられている「召し」に、結婚するために妥協するならば、結婚しない方がいいじゃないですか。 僕は牧師であり、音楽をやる人間で、自分の召しと賜物をよく分析し理解していたから、果たしてこの結婚はいいのかと本当に考えた。
妻の久美子も、ダンサーとしてアメリカでキャリアを積むことを捨てた。そういうことをひっくるめて、結婚に前向きになれたということは、自分がどうなりたいか、という将来の状態に目を留めることができたから。
目の前の事象ではなくて、将来の方向性が明確になっていれば、その人にとって結婚がいいものなのか、そうでないのか自ずと結果がでる。

話は変わりますが、聖書的な結婚観はよく聞いているクリスチャンホームで育った人でも、よいイメージをが持てないという人もいます。

そうですね。多くの宣教師とか牧師の子どもがカウンセリングに来ます。そこでは多くの場合、家庭がなおざりにされている現状がある。彼らはそんな親たちをみて結婚というものをいいものと思っていない。
もう一つの弊害は、親はいるけど親不在という現象があると思う。親が信仰に熱心であればあるほど、親子の会話が成り立たない。聖書の教師ではなく母親が必要な場合があるんですよ。そうして、子どもは聖書嫌いになり、そしてさらに結婚に対しても否定的になる。

理論ではなくてよいモデルをみて学ぶことが大切なんですね。「よいモデルを知らないから無理」と思う人がやっぱりいるかも。

結婚はすばらしいんだと言って生きている人がいる、と知るだけでもいいと思いますよ。