考古学と聖書の世界 ◆BOOKレビュー
イエスさまの姿がよりリアルに…

鈴木聖仕
日本同盟基督教団 町田南キリスト教会牧師

第一印象は、“読みやすい”。読み始めると一気に読み進めてしまう。
「聖書考古学」と聞いてイメージする専門書=難しいということはなく、コー子ちゃんとすぎもとセンセイのやり取りを読んでいると楽しい! これなら教科書や専門書は苦手な自分でも読める。中には、それは“知っている”とか、これは“メッセージで何度か聞いたな”という内容もあるが、新しい発見もたくさんある。読みやすいだけでなく、読み応えもしっかりある。こういうことこそ正しく知っておきたいという所もあり、何度も読み返したくなる内容だ。
この本の特徴の一つに、聖書の時代と現代の日本との対比がある。日本の井戸と聖書の時代の井戸の対比とか、日本とローマの宗教観や、季節のこと、家の建て方や大工の違いなど。日本に生きているとわかりづらい聖書の場面も、聖書の時代と日本文化を対比して説明してくれているのでイメージしやすい。何よりも新約聖書の時代背景が見えてくる。フォーカスをギュッと絞り、イエスさまの地上での“暮らし”にまつわることに焦点をあてることによって、そのときのイエスさまの姿がよりリアルに心に迫ってくる。そのことによってみことばの理解が深められ、みことばを読むのが楽しくなってくる。いつでも取り出せる書棚に置いておきたい一冊である。教会学校の教師をがんばっておられるみなさんにもオススメします。メッセージの準備にも、とても参考になるでしょう。聖書における一つひとつの発見は大人も子どももうれしいものです。続くであろう、旧約聖書編の出版を期待しています。

もくじ
第1話 婚約者は13歳!?
第2話 しゃがんで出産!?
第3話 家は洞穴!? 飼葉おけは石!?
第4話 ヘロデ王が三人!?
第5話 ローマと日本の宗教観はそっくり!?
第6話 サドカイ人 VS パリサイ人!?
第7話 今のユダヤ教はNEWバージョン!?
第8話 少年たちが大発見!?
第9話 イエスは「大工」じゃなかったかも!?
第10話 収穫の〝秋〟じゃなくて〝春〟!?
第11話 羊飼いは蔑まれていた!?
第12話 取税人は嫌われ者!?
第13話 奴隷から医者に!? …ほか全17話
『コー子ちゃんとすぎもとセンセイの 聖書考古学 新約聖書編』
杉本智俊著 1,200円+税