自殺の苦しみに福音は届くのか もう1歩「苦しみ」に寄り添うために/Book Guide

あなたを、一人で逝かせたくなかった(仮題)
―愛する人を自死で喪った悲嘆が癒されるまで
アルバート・Y・ヒュー著
佐藤知津子訳

平凡な日常に突然もたらされた訃報――残された者にとって、それはあまりにもむごい「仕打ち」だった。この苦悩が終わる時は来るのか。御国での再会は叶うのか……信仰書の出版を手がける編集者が自らの魂の遍歴を織りまぜつつ語る「自殺論」。5月発売予定
〔目次より〕
はじめに:遺された方々へ―自死のもうひとりの被害者たち/第一部:あまりにも突然に―愛する人が自死で逝ったとき/第二部:心を離れぬ問い―答えを求めて/第三部:それからの人生―自死のあとに

自ら逝ったあなた、遺された私
―家族の自死と向き合う
平山正実監修
グリーフケア・サポートプラザ編

家族の自死という悲嘆の現実を、遺族はどのように受け入れていくのだろうか。遺族が悲しみから立ち直るための努力を自ら行う作業をグリーフワーク、それを周囲が援助することをグリーフケアと言う。本書では、自死で亡くなった人も彼らなりに必死に生きてきたと認識し、 自死家族や自死未遂者に対し、真摯な態度で「悲嘆のプロセス」や「グリーフワークの事例」を具体的に提示する。「自死遺族を支えるネットワーク」などの資料も参考になる。
朝日選書 1,260円

自殺する私をどうか止めて
西原由記子
東京自殺防止センター所長

牧師夫人だったころ、ひとりの青年が自殺したことをきっかけに自殺防止センターを設立した著者。「どれだけ愛情をもって相談者の言葉を大切にし、言葉と言葉の間や背後に隠されている感情に気づき、そのことを伝え、共感をもって聴くことができるかに自殺防止の秘訣があるのです」と語る。本書では、自殺防止活動についてや数々の事例をあげ、最後には遺族へのケアにも触れている。
角川書店 1,365円

夢砕き
―子育て失敗者の祈りと賛美
舟山紀

27歳で自ら命を絶った息子。それまでの家庭内暴力の様相や、母親である著者の心の動き、キリストとの出会いを克明に綴る。素直な言葉で書かれた手記は、同じような状況にある方への慰めになるのではないか。残念ながら、数度版を重ねているが現在は品切中。
キリスト新聞社 1,365円