21世紀の伝道を考える 1 神の視点をもって伝道を

栗原 一芳
日本キャンパス・クルセード・フォー・クライスト代表

 主は「目を上げて、畑を見なさい」(ヨハネ4・35)と言われました。自分の生活の範囲だけでなく、自分の教会の中だけでなく、目を上げて「世界」という神の畑を見る必要があります。

 今世界で十二億の人は、十分な食事ができません。一億二千万の子どもたちは、路上で生活していますが、これはほぼ日本の人口と同数です。また十五億の人々は医療へのアクセスがありません。一千五百万の人々は生涯落ち着く先のない難民です。また六千四百万の薬物中毒者、そして年間五十万人の自殺者(うち六%は日本)がいます。

 国際キャンパス・クルセード・フォー・クライスト(以下CCC)の調べによると、現在、最も宣教を必要とする国の順位は次の通りです。

  1. ・パキスタン、
  2. ・バングラディシュ、
  3. ・ドイツ、
  4. ・ベトナム、
  5. ・ブラジル、
  6. ・イラン、
  7. ・フランス、
  8. ・タンザニア、
  9. ・アフガニスタン、
  10. ・トルコ。

ドイツとフランスが入っているのに驚かれたと思います。日本は宣教が困難と考えがちですが、ヨーロッパでも難しい状況があり、かえってアジアのクリスチャンがヨーロッパで活躍する時期にきています。

 こうした現実を考えるとき私たちの目は開かれ、必要が見えてきます。そして神の視点が与えられ、ビジョン、宣教への動機が与えられるのです。

 それでは日本はどうでしょうか? 

  1. ・長びく不況で失業率は過去最悪の五%台、
  2. ・過去三年連続で毎年三万人の自殺、
  3. ・ビジネスマンの五人に一人はうつ病状態、
  4. ・二〇〇〇年の離婚は二十六万件、
  5. ・若者の犯罪、幼児虐待、
  6. ・薬物常用者は二百五十万人、
  7. ・百二十万の若者がひきこもり。

最近の調査では、八十%の若者が未来に希望をもっていないという結果が出ました。「楽しければ良い」という快楽主義が蔓延しています。まさに日本は、タイタニックのように沈みかけているのです。

 闇に光を。彼らは神の言葉を聞かなければなりません。イエスに出会わなければならないのです。何ができるかよりも、何がなされなければならないのかという神の視点で祈ることが、求められているのではないでしょうか。

 日本ではマイノリティのように感じられるかもしれませんが、世界では四人に一人はクリスチャンと言われます(Atlas of World Christianity 参照)。そして世界の福音化はかなりのスピードで進んでいます。インターネットを通じて各国の宣教の必要がわかるようになり、祈りが具体的になりました。おそらく私たちの知らないところで世界の多くの人が日本のために祈って下さっているはずです。

 ここ数年、東アジアのクリスチャンの協力によりLOVE JAPANの働きが進められ、約百万部の伝道トラクトが日本の家庭に(主に教会未設置地区)配られました。さらに開拓伝道のためCCCは、オーディオカセット「JESUS」を無料で提供しています。すでに諸教会で五万五千本が利用されています。また映画「JESUS」は六百八十五の言語に訳され、四十六億の人が鑑賞しています。報告を受けただけでも一億四千万の人が救いに導かれています。日本でも二〇〇〇年クリスマスに全国二十八局のテレビ放送により約五百二十万人に福音が届けられました。二〇〇一年のイースターには、衛生放送で放映され、約二十万人に届けられました。

 キリストを紹介する最高の方法の一つはこの「JESUS」を見せることです。ルカの福音書の忠実な映画化なので、まさに見る聖書です。東京の心臓部、新宿、渋谷の一般の映画館で上映したいという熱き思いが与えられています。歌舞伎町は、現代のソドムとゴモラ。ここでこそ救い主を示さなければならない。誰にでもわかる方法でパブリックな場で見せる。一般の映画館こそそのような場所です。キリストは罪深い人々のただ中に来られました(ヨハネ一・一四)。これは今、誰かがしなければならないことなのです。

(つづく)