98%クリスチャンの国から1%クリスチャンの国に来て 第3回 お台場の自由の女神

アマリア・ネクラエシュ
日本ルーテル教団新潟のぞみルーテル教会員

 最近、東京で仕事があり、お台場にあるとてもすてきなホテルに泊まりました。
真っ暗になってからチェックインしたので、次の朝を楽しみにしていました。東京でいちばん景色がきれいだと聞いていたからです。
あくる朝、朝食を食べるために最上階に行ったら、そこには、思った以上にすばらしい景色が広がっていました――。左手に東京タワー、目の前にはレインボーブリッジ、そして右手奥には東京スカイツリーが空に触れようとしていたのです。 “今の日本はこれなんだ! 第二次世界大戦を乗り越えてから六十余年しか経っていないのに、こんなに立派になった日本は、どの国に対しても胸を張れるんだ!” 私の心は、思わず拳を握りたくなるような、感動と誇りでいっぱいになりました。
私にとって、日本の古都のシンボルは京都です。このとき、〝最新の日本のシンボルは、お台場だ”と思いました。
私は昂ぶる心を抑えきれず、お台場の空気を味わうため、散歩に出ました。どこまでも広がる青い空、そびえ立つレインボーブリッジ、東京タワー、東京スカイツリー、みんな私の挨拶に応えてくれたようでした。大きな深呼吸をして、つぶやきました。〝なんて、素晴らしい気持ち! 私は、この国を誇りに思う!”
ところが……突然、心の中で、黒板を爪で引っかくような音がしました。〝キキキキキキー!!” 夢のような詩的な気分から、強引に現実に引き戻された瞬間でした。視界の中に、なんと自由の女神のコピーが現れたからです。〝エー??? なんで、これが? どうしてここに? これは、アメリカのシンボルでしょう?! ここに建てられるのにふさわしい、日本のヒーローはいなかったの?”
勘違いしないでください。私はアメリカが好きです。その証拠に、とっても大切な友だちの中には何人かアメリカ人がいます。そして、もしかしたら、お台場のコンセプトは、アメリカのどこかの港のコピーなのかもしれません。私は、それについて何も知りません。その場所に自由の女神のコピーがあって良いのか、悪いのか、私が決めるべきでことでもありません。
でも、日本を愛している外国人としてちょっと疑問を持ちました。そして、ちょっとさびしくなりました。〝今の日本はこれなんだ!”という誇りを最後まで持ち続けたかったからです。それはただ、私だけの想い入れだったのでしょうか……。