CD Review ◆ CD評 神さまの礼拝へ誘う珠玉のピアノアルバム


向日かおり
ゴスペルシンガー・ソングライター

ジェフ・ネルソンの制作するアルバムをアメリカで初めて聞いたとき、蒼い海にやさしく抱かれるような感覚を覚えた。神さまの慈しみと、静かな癒しが心にひた寄せてくる。この音はきっと日本に愛される、そう直感したときから十六年。ジェフの賛美は日本だけでなく、韓国にも紹介され、愛され続けている。
トリニティー・ピアノシリーズは韓国で制作されたジェフのピアノプレイズだが、今回のアルバムはそのシリーズのベスト版となる。なじみの深い聖歌や賛美歌、また韓国で生まれたワーシップソングなど珠玉のメロディーが、ジェフのピアノによって、また時に弦楽器などのインストルメンタルを交えて奏でられ、二枚のディスクに収められている。その音は豊かな波となって聞く者の心を満たし、神さまのもとへ運んでくれる。心は引き上げられ、ただ神さまのもとへ居る平安と喜びに満たされるのだ。
彼の特徴は大きく二つある。ひとつは、ただただ「礼拝者」であること。彼は心底神さまを愛している。アルバムから流れ出す音に神さまへの愛を感じ、その愛に打たれる思いになる。
もうひとつは「癒しと励まし」を人々に運びたいと願ってやまない人であること。聞く人が癒されることを心から祈るからだろう、透明なのである。その癒しは、世のヒーリングミュージックとは違う。人が神さまに向かい、その御顔を仰ぐとき、魂に光がさし込み、この世の鎖から解き放たれていく。ジェフのピアノはそのような礼拝へ私たちを誘ってくれるのだ。
またこのアルバムでは、収められている韓国の旋律の美しさにも目を見張る。韓国はかくも美しい賛美を神さまの為に生み出してきた。それは同じアジア人である私たちの心の琴線に触れてくる。韓国とジェフ、この二つのコラボレーションは、神さまへの礼拝を第一とする愛のささげものでもある。心病み、空しさを募らせる現代において、礼拝こそが私たちの心を解き放ってくれることをこのアルバムは教えてくれる。礼拝は、神さまとの愛の交わりである。

<収録曲>CD1 1. きみは愛されるため生まれた 2. 愛する主よ あなたに 3. 主が来られる日まで 4. こころの緒琴に 5. 血潮で 6. いかに恐るべき 7. 主はあなたを守る方 8. 父の神の真実 9. ただ主の愛に結ばれて 10. 朝つゆの園を 11. そのようにならなくても 12. 救い主イエスと CD2 1. この世はみな 2. 使命 3. 御神に背きしアダムの末なる 4. 愛しますわがイエスよ 5. 主われを愛す 6. ここに集まったわれらは 7. 水が海を覆うように 8. わが魂の深き奥より 9. 派遣の歌 10. 十字架を負うかと 11. ヤコブの祝福 12. 皆献げまつり