CD Review ◆ CD評 聴く者の心に大きな励ましを
与えてくれる


福原タカヨシ
ゴスペル・シンガー

<収録曲>
1.Jesus 2.エデン 3.Little bird 4.大きな愛になれ 5.Calling 6.土の器 7.窓辺の唄 8.僕らの世界 9.Chu-shin 10.さぁ 行こう 11.いつくしみ深き 12.麦わら帽子

まずはじめに、この素晴らしい作品のレビューを書く機会をいただき、とてもうれしく光栄に思います。
初めてみささんとコンサートをさせていただいたとき、彼女はいつものように、アメリカ産の骨太で男らしい“Guild”ギターをかき鳴らし、一人凛として歌っていました。ストレートで聴き取りやすい言葉と伸びやかで真っ直ぐな歌声が、ギターに乗って飛んでいく。ブレない“芯”がそこにありました。世代を超えて多くの方に届くその歌と詞曲の魅力は、本作「Little bird」でも存分に味わうことができます。全十二曲という贅沢なボリュームで、表情豊かな曲の数々。それらが有機的に繋がり合い、響き合っています。
森も川も海も、闇夜に輝く星も空も太陽も、神様が造られたものには輝きがあります。この作品は、そんな普遍的な感動に満ちています。たとえばそれは、木の葉を透かす「光」のように瑞々しく、あたたかい。デジタルの波に埋もれる現代の日常の中で、かつて身近にあった“アナログな音”。いつからか、こういうサウンドを作ることの方が難しくなってしまいました。ブックレットに記されている名器と呼ばれるヴィンテージ楽器の数々、人肌の温もりを残した録音、演奏者一人ひとりが流し出す豊かなサウンドを通して、“変わらぬ存在”を覚えるのは僕だけではないと思います。そして何よりも、彼女の揺るぎない“信じる気持ち”が、聴く者の心に大きな励ましを与えてくれる。時には静かに寄り添い、時には力強く、僕らの背中を押してくれます。
タイトル・ソング「Little bird」では、前に進まないもがきの中で、「その時を待とう!」と呼びかける。ギターの弾き語りから始まる「いつくしみ深き」(讃美歌三一二番)は、穏やかで大きな安らぎに包み込まれます。きっとそれは、日常のどんな瞬間にも傍にいてくれる誰かの温もりなのでしょう。これまでも、いまも、そしてこれからも。決して変わることのないその愛を、この作品を通して是非すべての方に受け取っていただきたいと願っています。