CD Review ◆ CD評 CD『GOOD NEWS4枚セット』


波多 康
衣笠中央キリスト教会牧師 ゴスペル企画ミニストリー代表

おいしいゴスペル召し上がれ!

 知人がポトフというジャズバンドで活動している。彼がその名前の由来を話してくれた。ポトフというシチューは、人参、ジャガイモ、セロリ、玉ねぎ、トマト、肉などが各々のベーシックな味をそのまま主張しながらもひとつの味を作り出している。僕たちもそうしたバンドになりたいのだと。

 塩谷達也氏プロデュースの四枚のアルバムを改めて聞いてみた。「まさにうまいポトフだ!」と思った。ドラム、ベース、ギター、ピアノ、オルガンのどれもが、シンプルで上質な味を出している。そうしてブルース、ジャズ、R&B、レゲエ、コンテンポラリーソウル、またヒップホップの味わいへと広がっている。そこに聖書のメッセージを込めて歌う人の声が加味され、様々なゴスペルに仕上がっている。とは言うものの、決してバラバラの仕上がりではない。各々のアーティストたちの味が融合して曲となり、さらに各曲の味が融合し、味の旨みが逃げることなく一枚のアルバムに収まっている。そして四枚の各アルバムが各々の味を主張しつつも、四枚全体で心地よいひとつの味わい深い世界を作っている。それがこれらのアルバムの蕫塩谷ゴスペルワールド﨟の魅力である。

 塩谷氏プロデュースの元、アメリカはニューヨークやニュージャージーで活躍するゴスペルアーティストたちが集結し、コンテンポラリーなブラックゴスペル味、ゴスペルのルーツを探る黒人霊歌味などに仕上がった三枚のアルバム”GOSPEL THE GOOD NEWS”、”SPIRITUALS, THE ROOTS GOSPEL”、”GOSPELIZE IT”。そして塩谷氏のネットワークならではのJポップで活躍する日本人アーティストたちによるR&B、ソウル、ヒップホップゴスペル味に仕上がった画期的アルバム”O,JESUS”。どれも塩谷氏の信仰と祈りをもって作られた渾身のアルバム。これらは、ゴスペルの醍醐味を多方面から味わわせてくれる。ゴスペルに馴染みのない方はゴスペル導入的に、馴染みのある方は新たな新鮮なゴスペルとの出会いのために、ぜひとも手にされることをオススメする。