書評Books1 畑に隠された宝のように

小預言書の福音

『小預言書の福音』
高橋秀典 著

四六判 2,000円+税
いのちのことば社

浦和福音自由教会 牧師 坂野慧吉

主イエスのたとえ話の中に、「天の御国は、畑に隠された宝のようなものです」(マタイ13・44)ということばがある。ここで、「畑に隠された宝」とは、「福音」のことである。まさに聖書全体のメッセージは、「福音」のメッセージである。
「聖書はすべて誤りなき神のことば」と信じている「福音主義的なクリスチャン」にとっても、「小預言書」は、まさに「畑に隠された宝」のようなもので、「神の怒りとさばきのメッセージ」が印象的で、そこに「福音のメッセージ」を読み取ることはあまりなかったのではないだろうかと思われる。
このような状況の中で、立川福音自由教会高橋秀典牧師の『小預言書の福音』が出版されたことは大きな意味がある。なぜなら、この本をじっくり学ぶことによって、第一には、「聖書はすべて神のことば」であることを確信でき、第二に「小預言書」は「福音の大切なメッセージを語っている」ということを理解することができ、そして第三に「小預言書の福音を味わうことを通して、イエス・キリストの福音を、より豊かに、よりリアルに経験することができる」からである。まさに、「畑に隠された宝」を発見する「手がかり」を与えてくれる本だと思われる。
最後に、この本を読もうとされる方々へアドバイスをしたい。第一に、「聖書自体」を味わうためには、まずそれぞれの聖書の箇所を丁寧に読み、その後、この『小預言書の福音』を読むようにすること。第二に、教会または学校において、グループで「小預言書」を学ぶ参考書として用いること。そして第三に、著者が「聖書の福音」をどのように理解し、確信しているかを読まれることをお勧めする。
「そこに記された希望のメッセージはすべて基本的に同じです。それは神がこの世界にご自身の平和(シャローム)を実現してくださるというものです」(「はじめに」より)