書評 キリスト教の中心をまっすぐに 語る

『教会へようこそ!
3つの大切なこと』
河村 襄 著

B6変判 500円+税
いのちのことば社

インマヌエル郡山キリスト教会 久保泰昭

教会について、あるいはキリスト教について知りたいという方のための書籍はほかにもありますが、本書は実際に教会でなされた説教をもとにして作成された点でユニークなものです。
教会とはどういうところか、またキリスト教はどういうものかを分かりやすく、著者の長い伝道者生活に基づいた例話も適宜に加えられ、とても読みやすく、つい終わりまで読んでしまいます。著者は聖書に基づいてキリスト教の中心をまっすぐに語っておられます。
もとは語られたもので、それが本になりましたので、語りかけの口調が残されているため親しみやすさを感じます。
内容は大きく二つに分けられます。前半は「教会の働き」について、具体的には、救いとは何か、さらに、どうしたら救われるのかが扱われます。後半は、その救いを経験した後の「信仰生活の歩み」についてです。具体的には信仰生活の土台とは、さらに、どうやって信仰生活を建て上げていくのかという課題が取り上げられます。
本書の帯によると「初めて教会に来た人、求道者のための本」とあり、それがそもそもの出版の目的であることが明らかにされていますが、それとともに、最近信仰を持たれた方、あるいは信仰生活の長い方にも信仰の内容を再確認する意味で助けになる書です。
前半は使徒の働き16章25―31節、後半はコリントの手紙第一3章1―17節に基づいた説教ですので、説教者にとってもみことばに取り組む際に興味深い学びになることでしょう。前半、後半それぞれの終わりに読者のための著者の祈りがささげられています。伝道者、牧会者としての著者のはらわたが吐露された祈りです。
本書の長さは六十頁ほどですが、内容は実に豊かであり、それにもかかわらず、手頃な価格に設定されているのも感謝なことです。誰にでも薦めることができるからです。
私の知り合いの幾つかの教会でも、すでに用いていて好評であると聞いています。個人で、教会で常備して、ふさわしい方に贈るには、最適の書だと思います。