CD評 大人が癒される上質なCCM

「ひとりじゃないから」
KISHIKO

ミュージックミッショナリー(音楽宣教師)
オリーブオイル Jr.ソムリエ
久米小百合

ファン待望のKISHIKOのニューアルバムがリリースされた! オリジナルアルバムとしては六枚目の作品「ひとりじゃないから」には作曲家KISHIKOの懐の深さ、引き出しの多さが詰まっている。国内では数少ないゴスペル、CCM(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)のアーティストであり、確かなピアノのテクニックを持つ弾き語りのシンガーでもある。
そしてもう一つそこに付け加えさせていただければ、久米の神学校時代からの友人ナガノさん(現・永野雅俊牧師、東京JC教会、日本基督教団)の奥さまでもあり、久米よりちょっとだけお姉さんのKISHIKOさんはミュージシャンとしてもクリスチャンとしても、ママとしても大先輩だ。そんな彼女の新譜のパッケージをワクワクしながら開けた。
オープニングの一曲目はタイトルチューンから始まる。ゆったりとしたメロウなサウンドから語りかけられるメッセージは、忙しく無味乾燥な日々を送っているすべての大人の心を解きほぐすだろう。二曲目以降アルバムは朝が明けるように徐々にリズムやコーラスを増し、まるで八つのショートムービーを観ているようにそれぞれのストーリーを展開していく。すべての作品に共通するのはAOR的な粋な音作りと、クラシックからJAZZ、ロックまで自らの旋律に落とし込んでしまうKISHIKOの音楽的素養の広さだ。そしてキリスト教的な用語を一切省いてもなお、神の愛と赦しを伝える歌詞を担当した楯由起子のことばの力にも脱帽する。
そしてアルバムのラストは「アメイジング・グレース2016」、なぜ“2016”かというと、一九八八年にリリースされた同タイトルのアルバムがあり、今回は“2016年盤”であると理解した。日本語は聖歌の歌詞で歌われることが多いこの名曲を、讃美歌21(四五一番)の和訳で歌われているのも趣があり心にしみた。
個人的にはアレンジも彼女が手がけた「ことば・光へと」が大好きで、とにかく百言は一聞にしかず! 素敵な一枚である。

<収録曲> 1 ひとりじゃないから / 2 どんな時でも / 3 あなたがいるからあなたの愛で / 4 Love Song / 5 あなたのそばに(We Will Be With You) / 6 ことば・光へと / 7 Yes, You! Jesus! / 8 Amazing grace 2016