試聴CD 主からのエール

東京基督教大学 学長 小林高徳

「LYRE2017 最後まで」
LYRE
全14曲 2,000円+税
制作・販売元 ライフ・クリエイション
TEL.03-5341-6927(48760)

うつむき加減な目を、ふと上げてみる。そこに広がる青空や雲は、悩み、躓き、痛み、悲しむ心に何かを語りかけている。リラの賛美には、空模様が印象的に描かれるものがある。空が、そのときの心象風景を映し出すかに見えることもあれば、変わることのない主の愛と約束を想い出させることも。
今回リリースされた『LYRE2017 最後まで』も、「あかね色に染まる空」は 十字架を想い起こさせ、羊雲の浮かぶ「おだやかな秋の空」に遠い町の殉教者に想いを馳せ、主に従う決意を新たにする。
シンプルなピアノ伴奏に映える歌声は円熟味を増し、透きとおる彼らの特徴的なハーモニーが心を包み込む。それと重なり合う詩の持つ力。主なる神への賛美、みことばによる賛美、祈り、キリストの愛を伝え、信仰の友を励ます賛美の数々が、キリストに従う者として今を生きる中で発した偽りのない問いと、辿り着いた答えの表現だからだろう。リラの賛美が愛され、励ましを与えてきた理由がそこにある。
ありふれた日常の歩みと葛藤のなかで、戦争とテロと敵意と憎しみが広がる今の時代にあって、キリストを想い、その約束を信じ、依り頼み、従おうという願いと決意にあふれている。十字架の死にまで従った「平和の君」の約束を信じて、日々のつとめに、キリストの愛にならう平和の人としての歩みに出ていこうと励まされる。「この世の暗闇に打ち拉がれ 諦めることがないように 希望の光を 輝く明日を 待ち続けて歩めるように」と。
大学食堂の片隅で、ピアノを囲んで歌っていた若者たちを見た。そんなリラのメンバーの世代も、年齢と経験を重ね、人生の半ばにさしかかっている。結婚や子育てを経験し、教会でも社会でも責任を担っている。そうして、自分の存在意義をもう一度問い直すときを迎える。このアルバムは、そんな世代のクリスチャンへの、いや、この時代に生きるあらゆる世代の人々へのエールである。それはまた、聴くすべての人々への主からのエールに聞こえる。

<収録曲> 最後まで/ まず第一に/ 詩篇139:23,24/ 確かな我が望み/ ガリラヤのイエス/ 永遠にあなたを満たすもの/ 心一つに/いつもがキセキ/ ただあなただけを/ 平和の人に/ 今みもとに/ 永遠に共に/ 主の御名をたたえる者は/ 黙示録5:13