表紙エッセイ 第6回 小さなお客さま

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羊毛フェルト作家 泉谷千賀子
羊毛に関わる小さなお話

今年もいつもの軒先につばめたちが帰って来て巣作りを始めました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
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今月はとても大きな羊毛フェルトのお話をいたしましょう。それは、モンゴル高原の住まい“ゲル”です。骨組み以外はすべてが羊毛ですから、眠れない夜に羊を数えることはないでしょう。
針でチクチクするのではありません。昔ながらの作り方では、大きな帆布の上に羊毛を敷きつめて、水を振りかけます。それを端からグルグル巻きにしてロープで縛り、馬に数キロメートル引いてもらいます。振動と摩擦でフェルト化が進みます。みんなの協力で完成させる、共同体のきずなのあかしです。羊は人間に衣食住を与えてくれる、地球に優しい生き物なのです。そして、みんなを笑顔にしてくれるいとおしい存在です。

おやおや…ネコさんのお宅に、不意に訪れた小さなお客さま。
あなたは、だあれ?

ご主人。お気に召すなら、どうか、あなたのしもべのところを素通りなさらないでください。(創世記18・3)

ではまた来月、ほっこりとお目にかかれますように。