書評Books 家庭礼拝で用いるために最高の教材

町田クリスチャンセンター 教育牧師 杉本玲子

 

『こんなときどうする? 親子ディボーション365』
ベッツィー・シュミット 著、ブルキ羊子 訳
A5判 1,900 円+税 いのちのことば社

本を開くと、三百六十五日、子どもの毎日の生活で実際起こりそうな「ちょっとしたトラブル」が書いてあって、「そういうとき、どうしたらいいかな?」と三つのチョイスの中から選ぶ形式です。寄り道するように誘われたら、傘がなくなったら、トイレに落書きがあったら、お金が足りなかったら、遊びたくないのに友だちの家に誘われたら、サッカーの試合でミスをしたら、パソコンデータを消されてしまったら、自分の意見を否定されたら……読んでいくだけでも、引き込まれそうです。全部の漢字に振り仮名がついているので、小学校の高学年なら一人でも読めるでしょうし、親子で一緒に考えるのもいいでしょう。男の子にとっても、女の子にとっても、共感できるケーススタディーだと思います。
さらに、三つのチョイスが、「正解」「間違い」「間違い」でなく、「よくやりそうな行い」「微妙な行い」「少しハードルの高そうな行い」になっていて、リアルでなかなか難しく、頭の中だけで考えるのでなく、本当にできるのか、じっくり考えさせる構成がすごいと思います。しかも、人間的な常識で「よい」「悪い」と考えるのでなく、ヒントとなる聖書箇所が必ず一か所載っています。その聖書箇所は、教会学校ではなかなか教えられない新約の書簡や、旧約の歴代誌、箴言、イザヤ、エレミヤ、ホセア……などからの引照です。普通の教会学校では、ほとんど開かれない聖書箇所を開いて読むきっかけになるのが、素晴らしいと思います。子どもが聖書物語を卒業したご家庭で、家庭礼拝で用いるために最高の教材だと思います。教会学校の先生にとっても、メッセージの例話を探すよいヒントになるでしょう。
カットもかわいいし、ところどころにはショートメッセージやパズルもあって、小学生が一人で読むのにも適しています。何よりも、一日分が短く、スペースも広くあいていて、毎日、無理なく続けて読みやすいと思います。子どものデボーションの「初めの一歩」としても用いられますように。