試聴CD 天国級のエンターテイメント

ミュージック・ミッショナリー 久米小百合

「天国へのロックンロール」
サルーキ=

全7曲 1,852円+税
販売元 ライフ・クリエイション
TEL.03-5341-6927(48862)

<収録曲>
Get Ready/ Rock of Jesus// The Weight~人生の重荷~/ ぼくのカミサマ/ ぼくのドラえもん/ 聖き人/ Fresh

サルーキ=のお二人とは、年の初めに東北支援のライブでご一緒しました。その時とても驚いたのですが、それはCDの推薦文に湯川れい子さんも書いていたとおり「まさにクリスチャン・ロックなんだ!」ということでした。
少しオブラートに包んで、神さまの存在を光や愛にすり替えたりしない、「俺たち心底ジーザスに惚れてますから」みたいな潔さが新鮮だったのです。
今回の新譜も、そんなサルーキ=らしい純粋な疾走感にあふれていると思います。七曲のスコアのほとんどを千代延君が書き、自分たちでアレンジメントもしているのですが、決してサウンドに流されるのではなく、歌詞が太字で耳に残るのはサルーキ=ロックの強みなのかもしれません。
自分たちが信じている世界がストレートな詩になっているので、余計な注釈や評論も無用なのかもしれません。だから彼らは、信仰なんて言うと生真面目で抹香臭いと逃げられてしまうこの日本において貴重なロッカーなのです。
「Get Ready」では、バッドニュースにあふれる今日をどう生きるかを指し示し、ずばりバイブルとも言える「Rock of Jesus」、甘酸っぱい気分になる「ぼくのドラえもん」、ピアノコウジさん編曲による「聖き人」では極上のAORに信仰の言葉が踊り、「Fresh」ではスケールの大きな希望を見せてくれます。もう一つ忘れてはならない一曲は、あのThe Bandの「The Weight」を今回私訳して収録していることです。The Bandはボブ・ディランとともにツアーを回っていたこともあるので、七〇年代のロック少年少女にはお馴染みのバンドです。キリスト教に傾倒したディランの影響を受けたのだろうか、などと勘ぐりたくなるこの名曲を、千代延君が「人生の重荷」と歌い上げました。
これを聴いて、若かりしころThe Bandの派手なTシャツを立川基地で手に入れ、うれしかったことが懐かしくよみがえってきました。そう、おそらくサルーキ=の魅力は、世代を超えてロックを楽しませてくれる、まさに天国級のエンターテイメントであるところでしょう。