神の深い愛と救いの計画という摂理が、小さなこどもたちにも届く

『くりすます―かみさまのおおきなプレゼント』
加藤潤子 著

B5変型判 1,000円+税
いのちのことば社

善隣幼稚園 園長 井上直子

クリスマスが近づくと、「すてきなクリスマス絵本はないかしら……」と、本屋さんの棚を眺めるのが、わたしのささやかな楽しみです。「すてきな」の基準は、「美しい絵」「美しい言葉」「温かな感動」の三つ。そんな基準で集めた絵本が、手元には三十冊くらいになりましたが、今年また一冊「すてきな」クリスマス絵本に出会いました。
この絵本は、今までにないちょっとユニークな本でした。まず、ひらがなで『くりすます』。でも、わたしにはしっくりきました。それは、こどもたちが最初に触れるのがひらがななので、幼稚園では、あえてひらがな表記をすることが多いからです。例えば、「ぺーじぇんと」とか、「ぷれぜんと」とか。ですから、こどもが本棚に「くりすます」の文字を見つけると、親しみを感じて、すぐに手を伸ばすにちがいありません。
もう一つ、この絵本のユニークな点は、クリスマスの出来事がなぜ起こったのかという「すべてのはじまり」から語られているところです。ページを開くと、救い主の誕生という、あの神秘的な物語ではなく、「かみさまは このせかいを つくられました」で始まるのですから、「あれ? これ何の話?」と、期待外れな気持ちにさせられるかもしれません。創造主であるかみさまが、一つひとつの被造物とともにひとを造られ、やがて自分のことばかり考えて行動してしまうようになったひとを「かわいそうに」と憐れんでくださったことが、シンプルで優しい言葉で綴られています。そして、絵本の真ん中でようやくクリスマスの物語が語られているのですが、それでこの物語は終わりではありません。イエスさまによる癒やし、そして十字架、復活、再臨の約束まで続いているのです。
聖書が伝えるかみさまのわたしたちへの深い深い愛と救いの計画という摂理が、小さなこどもたちにも届く、わかりやすく温かい言葉で語られているこの絵本は、クリスマスの季節だけではなく、いつもそばに置いて大切にしたい一冊です。