憤りを歌でしなやかに弾き返す「神の民」のユーモア

日本バプテスト連盟 泉バプテスト教会 牧師  城倉 啓

『ゴスペルのぬるしをあげて―普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会~歩み・記録集~』
「普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会」記録集編集委員会 編
A5判 2,000円+税 いのちのことば社

Democracyとは何か。一つの答えは、「Democracyとは一人でも路上で声を上げることだ」というものです。
本書は、ゴスペル(賛美歌)を歌いながら、米軍基地が沖縄に押し付けられていることに抗議をするキリスト者たちの非暴力抵抗運動の歩みを刻んだ記録集です。しかもそれが、この活動に取り組んでいる一人一人の「声」の集積になっていることに特徴があります。
第一章は「経過記録」。二〇一二年オスプレイ十二機が普天間基地に強行配備されたことをきっかけに、同年十月二十九日から「普天間基地ゲート前でゴスペルを歌う会」が結成され、今に至るまで綿々と毎週の抗議活動が続いていることが綴られています。「No! Osprey No! Rape No! Base」が旗印です。その都度のブログ記事を紹介していることが読者に臨場感を与えています。特別な集会のプログラムや、祈りの言葉、声明文等も時系列に把握することができます。それらの言葉はすべて実名入り、生の声です。
第二章は「各地のゴスペルの会」。普天間基地ゲート前で始まったこの運動が、全国に広がっていることを伝えています。東京(二か所)、福岡、岡山、神奈川、兵庫、大阪(三か所)、京都と、全国各地に地道に広がっていることが、各地の主催者たちの声によって確かめられています。
第三章は「声」。本書編集委員会に寄せられた寄稿文の数々です。それら諸々の声には通奏低音が響き渡っています。沖縄に不条理な犠牲を強いることが「神の義」に反するという悲憤です。そして、この憤りを歌という手段でしなやかに弾き返そうとしている「神の民」のユーモアです。
評者は東京に在住しています。東京は日本国の三権が集中している地です。日米安全保障条約と日米地位協定を廃棄させる責任、沖縄への差別を憲法違反として止めさせる責任が、特に東京の者たちにあることを、本書は教えています。辺野古への土砂投入は、東京の者たちの不作為の罪の結果です。悔い改めよ、福音(ゴスペル)を信ぜよ。