神様の大きな愛をさりげなく届ける一冊


『たいせつなきみ ストーリーブック』
マックス・ルケード 著
松波史子 訳
A5変判 1,600円+税
フォレストブックス

童話作家 岩佐めぐみ

見ばえとか才能とか、何かひいでるものがあれば金色のシール、だめな者にはねずみ色のシール。この二つのシールをくっつけあう木ぼりの小人ウイミックたち。主人公パンチネロは全身ねずみ色―
私にも両方のシールがくっついていると『たいせつなきみ』に教えられたのは十八年前のこと。ただ、ウイミックたちと違って、私のシールは私自身がはったものでした。
物語の中、ルシアという女の子にはシールが一枚もありません。くっつけようとしても落ちてしまうのです。パンチネロ同様、私もルシアのようになりたいと願いました。
ルシアにシールがつかない理由を、エリ(ウイミックたちのつくり主)はこう説明します。「あの子が心に決めたからなんだ。ウイミックたちよりも、わたしがどう思うかのほうがたいせつなんだってね。」さらに「おまえがシールを気にしているからくっつくのさ。わたしの愛を信じれば信じるほど、シールなんてどうでもよくなる」と。
気がつくと私は本を抱きしめ、しばしハラハラと泣いたのでした。おそらく涙とともに何枚かのシールもハラハラと落ちたはず。
この世界的ベストセラー「たいせつなきみ」シリーズ全六話は、いずれもハッとさせられる物語です。邦訳二十周年を記念し、それらが一冊の「ストーリーブック」になりました。挿絵もあるので絵本のテイストも失われず、コンパクトなうえ、装丁も素敵。すべての読者につくり主の愛を届け、クリスチャンには価値観の再確認もさせてくれる……というのを、一冊でやってのけるマックス・ルケード、さすが! ルビ付きなので年齢を問わないし、私のたいせつな人へのプレゼントは、しばらくこの本になりそうです。
さて、十八年たって私はルシアのようになれたでしょうか? 秘訣は毎日エリに会いにいくことだそうです。
そうそう、エリがあなたに伝えたいことがあるんですって。
―覚えておくんだよ―
何を? 続きは本書でエリから聞いてくださいね。