聖書 〈新改訳〉の特長
- 聖書を『誤りなき神のみことば』と告白する福音主義の立場に立つ委員会訳。
- ヘブル語およびギリシャ語本文の修正を避け、意訳ではなく、原典に忠実な訳。各書の文学類型にふさわしい日本語の文体を用いている。
- 特定の神学的立場に傾かないで、言語的に妥当であるかを尊重する。
成り立ちと基本方針
新改訳聖書は、1960年代、聖書信仰運動の高まりとともに「聖書は誤りのない神のことば」と信じる福音主義に立つ諸教派、諸教会、諸団体の祈りと協力によって設立された「新改訳聖書刊行会」によって、翻訳・編集の作業が進められました。8年6か月の年月を費やした末、1970年に初版が刊行されると、原典に忠実で“原文が透けて見える”翻訳が各方面から高く評価され、広く諸教会の礼拝で使われる公用聖書として、また個人の信仰の養いのためにも、多くの方々に親しまれ用いられてきました。その後、第2版(1978年)で若干の訂正を、第3版(2003年)では差別語・不快語の見直しを中心とした小改訂を行いましたが、このたび新改訳の全面改訂による新しい翻訳聖書が2017年10月に刊行されました。
年代 | 校訂本など | |
---|---|---|
1962年 | 新改訳聖書翻訳スタート | |
1965年 | 新約聖書完成 | ネストレ第24版(ギリシャ語) |
1970年 | 旧約聖書完成 | キッテル第3版(ヘブル語) |
1978年 | 聖書 新改訳 第2版完成 | 若干の訂正 |
2003年 | 聖書 新改訳 第3版完成 | 差別語・不快語の見直しを中心とした小改訂 |
2017年 | 聖書 新改訳 2017完成 | 全面大改訂。ネストレ・アーラント第28版 |
聖書〈新改訳〉の3つの基本方針
- Ⅱテモテ3章16節に示されているように、聖書の著者は究極的には神ご自身であられ、聖書は誤りのない神のみことばであることを信じる学者によって翻訳されました。原典に忠実に翻訳するという場合、どんなテキストに従って翻訳したかを明らかにする必要があります。そのため、聖書〈新改訳〉には、欄外にくわしい注がついています。
- 解釈上の権威ある伝統に準拠。英語欽定訳(AV)から英語改正訳(RV)、米国標準訳(ASV)、さらに新米国標準訳(NASB)へと受け継がれた伝統的解釈に準拠しています。
特にキリストの神性が明確に翻訳されています。例えば、
ローマ9:5「キリストは万物の上にあり、とこしえにほむべき神です。アーメン。」
使徒20:28「神がご自分の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、聖霊はあなたがたを群れの監督にお立てになったのです。」 - わかりやすい現代文に翻訳されています。漢語の聖書以来、そのまま受け継がれてきた「燔祭」「素祭」「酬恩祭」「罪祭」「揺祭」「挙祭」等はそれぞれ、「全焼のいけにえ」「穀物のささげ物」「和解のいけにえ」「罪のためのいけにえ」「奉納物」とわかりやすく翻訳されています。
さらに、ギリシャ語の確定未来形を「…であろう」と訳さず、「…です」とはっきりと訳出して、イエス・キリストの約束のことばを力強く表現しています。
マタイ7:7「求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。」
『聖書 新改訳2017』では、過度に丁寧な箇所を改め、朗読にも適したより自然な文章となっています。