「聖書力」を身につける ◆みことばを理解する助け

石川 新
日本同盟基督教団 追浜聖書教会牧師

手元に置くことから

思わず手にして、軽い! カバーの肌触りが柔らかい!というのが第一印象でした。もちろん辞典は中身が大切ですが……。一九八五年に出版された『新聖書辞典』がこのたびコンパクトになり、お手頃価格で求めることができるようになりました。本棚に置いて引っ張り出すのではなく、聖書とともに持ち運びが楽になったのはうれしい限りです。
私たちは、インターネットで検索し、すぐさま、調べたい情報を引き出せる時代に生きています。しかしみことばに関する日本語の情報はどうでしょうか。聖書信仰に基づいた日本語による情報を得るとなると、まだまだ限られていることを実感するのは私だけでしょうか。一般の辞典を見ても、聖書のことばの意味を理解するためには非常に限界があります。
『新聖書辞典』は、日本人諸先輩の先生方が念入りに調べた上でまとめられた一冊です。聖書のことばを理解するために手元に置き、いつでも読みたいものです。聖書の研究が進むにつれて、情報を更新していく必要があると思いますが、次の世代にも残していきたい一冊といえるでしょう。

基本のことばから

新しい年を迎えるにあたり、デボーションを充実させたい、聖書通読を目指して、聖書の学びを積み重ねたいと思っている方もいることでしょう。例えば、創世記から読み始めるとき、創世記についても辞典を見ますと概要を把握することができます。全体像をとらえることは大事なことです。
創世記一章一節は、「初めに、神が……」で始まりますが、神についても、辞典を引くと基本的なことを学ぶことができます。神についてもう知っているからではなくて、手間を惜しむことなく辞典を引き熟読すると、新たな発見をするでしょう。辞典は単に調べるものでなく、読むものでもあることがわかります。読み進めていくうちにあっという間に時間がたち、夢中になってしまっていることに気づくことでしょう。時には理解するには難しいことにも直面し、時には私たちは固い食物を得て、反芻し味わう経験も必要であると思います。

図表を活用することから

聖書には、家系図が記されています。例えばマタイの福音書一章は典型的な例です。名前ばかりで退屈と思った方もいるのではないでしょうか。アブラハムから始まり、イサク・ヤコブそしてヤコブから十二部族が出てきます。そんなとき、ぜひ辞典でアブラハムやヤコブの項目を引いて家系図も見てください。聖書に書かれている救いの計画を理解する助けとなります。
また後ろにまとめられている歴史年表、福音書記事の対照表、暦、度量衡等も役に立ちます。歴史年表に、アブラハムが一七五歳で生涯を終えたとき、ヤコブは一五歳であったことが分かります。四つの福音書の対照表を見ますと、主イエスの歩みを時系列でたどることができます。図表を通して主が来られた目的、大いなる神の救いの計画を知る助けを得られます。みことばを理解する助けに役立つ一冊となるこの辞典をお薦めします。

『新聖書辞典【新装版】』
発売記念特価6,900円
(本体6,389円+税8%)
2015年4月末日まで
定価7,452円
(本体6,900円+税8%)
A5判 上製 箱入 1,728頁