『教会福音讃美歌』ができるまで 第2回 礼拝における讃美歌
安藤能成
福音讃美歌協会代表理事日本同盟基督教団・世田谷中央教会牧師
福音派諸教会が集まって作成した『教会福音讃美歌』。今春の出版を機に、賛美とは、礼拝においてどのような位置づけなのかを改めて考える。
Q この『教会福音讃美歌』は〝礼拝における賛美”を意識されていますよね。
「私たちはキリストを通して、賛美のいけにえ、すなわち御名をたたえるくちびるの果実を、神に絶えずささげようではありませんか」と聖書(ヘブル13・15)に教えられています。賛美は、新約の教会の礼拝の大切な行為であり、礼拝にこそふさわしいものです。主の日の教会礼拝を中心にして、家庭や野外のキャンプなど、さまざまな場所での礼拝があります。
『教会福音讃美歌』は、色々な礼拝の場面で用いていただけるように選曲しています。また礼拝の中心に聖書の説教がありますが、その導入や応答、信仰告白と証し、そして祈りとしての賛美があります。“礼拝における賛美”を意識しているということは、以上のように、決して狭い意味ではありません。
Q 讃美歌の最大の魅力とはなんでしょうか。
相矛盾して聞こえるかもしれませんが、信仰の歌である讃美歌は、それを歌っているだけでも信仰が高揚していくということ。歌詞によって広い意味でのキリスト教神学が伝わること。またあらゆる人々の中に普遍的な広がりをもって届くこと。それは年齢や社会層の異なる人々が一堂に会する教会で歌われる上で、必要なことです。讃美歌の美しさは一般社会でも受け入れられ、コマーシャルのバックミュージックとして使われる例もあります。またある人は絶望の中で自殺しようとしていたときに讃美歌が聞こえてきて、思いとどまって信仰に導かれました。「イスラエルの賛美を住まいとしておられる」主のお働きでしょうか。
Q 歌声に自信がないという人もいるようですが。
そんなことは気にしないでください。美しく歌えることは素晴らしいですが、聖歌隊は別として、心の声で歌うことが何よりも大切だと思います。歌うことで声も整えられていきますよね。少し古いですが、ダークダックスという四人グループは讃美歌をハーモニー練習のために使っていたと聞きました。それに、教会ではほかの人々と声を合わせて歌うのですから心配いりません。歌声は多ければ多いほど不思議にまとめられていきます。教会は信仰のハーモニーが大切ですね。
◆次回のテーマは「収録曲の選考基準」
福音讃美歌協会(JEACS)……二〇〇五年、日本同盟基督教団、日本福音キリスト教会連合、イムマヌエル綜合伝道団、いのちのことば社を中心に結成。代表理事は日本同盟基督教団・世田谷中央教会主任牧師、安藤能成。