『教会福音讃美歌』ができるまで 第3回 収録曲の選考基準
安藤能成
福音讃美歌協会代表理事日本同盟基督教団・世田谷中央教会牧師
Q 収録曲については、予定曲の紹介や意見を募るなどされたようですが、反応はいかがでしたか。
二〇〇九年に札幌で行われた第五回日本伝道会議に合わせて「福音讃美歌ジャーナル」特別号を発行し、そこに収録がほぼ決まっていた約三百曲の曲名、収録歌集と番号、そして目次案を載せました。日本伝道会議では分科会ももたせていただき、多くの方の参加と、良い反響をいただきました。とても良く学び、深い意識をもってご意見を寄せてくださった方もあり、おかげで間違いを回避できたこともありました。耳の痛い意見も丁寧に聞くようにしてきました。まだかたちの見えない段階から、多くの方が信頼して祈り励ましてくださったことは、とても心強いことでした。
Q 収録曲を決める際には、さまざまな意見に分かれることもあって大変だったと思うのですが。
たしかに意見が割れる場面は何度も通りましたし、厳しい議論もたくさんありました。けれども、大きな方向性が決まっていたので、それが深刻な対立になることはなかったと思います。
その方向性とは、日本の福音派の礼拝で会衆が歌うための讃美歌集ということです。
何かある度に、いつもこの原点に返って、そこから自分の考えや全体の作業を見直すことができました。おかげで、妥協ではなく、互いに譲り合い、学び合いながら良い作業ができたと思います。我々自身もこの作業を通して多くの恵みをいただいたと思います。
Q 幅広い世代に、これからの時代に歌いつがれる讃美歌集になるとよいですね。
そのことは今回、強く意識したところです。
一つの讃美歌集の寿命は三十年前後と言われます。それは赤ちゃんが成長して大人になり、次の世代が生まれるぐらいの時間です。そのような時間の流れの中で教会に集う人たちの姿を、いつも考えました。今も、そしてこれからも老若男女さまざまな人が集う場所が教会です。その礼拝で用いられるにふさわしい選曲ということで、古いものを大切にしながら、新しいものを積極的に取り入れました。また古いものを新しいことばに訳し直し、次世代に手渡すことも試みました。
ぜひ、手にとって歌っていただきたいと思います。
◆次回のテーマは「歌詞の見直し」