『教会福音讃美歌』ができるまで 第5回 メロディーへのこだわり
土井康司
福音讃美歌協会 讃美歌委員、
日本同盟基督教団 下北沢聖書教会員
出版が待たれる福音派教会による『教会福音讃美歌』。今回は、選曲された讃美歌のメロディーに注目する。
Q ゆっくりとしたメロディーが多かった従来の讃美歌集と比べて、元気で速いテンポの曲も多いですね。
『讃美歌』と比べるとそう言えるかもしれませんが、福音派が多く用いてきた『聖歌』には、元気でテンポの速い曲が多く、それは伝統のひとつとして継承しています。『聖歌』をご存じの方であれば、『教会福音讃美歌』の大部分は無理なく歌えることでしょう。
また現代讃美歌として、ギターなどの伴奏が合う曲も多く採用しました。一方、ゆっくりとした讃美歌も多数採用しています。
メロディーという点では、歴史のある古いもの、今年に入って作られた新しいもの、欧米だけでなく世界各地で生まれたもの、日本で生まれたものなど、バラエティーに富んだものになっています。
Q 新しい曲などは、年配の方にとってはリズムが難しいという意見もありそうですが、大丈夫でしたか。
『讃美歌』『聖歌』とは違うタイプのリズムについては、はじめは難しく感じられるかもしれませんが、日本の音楽シーンで耳に入ってくる複雑なリズムに比べれば、分かりやすく歌いやすいと思います。また年配の方ほど心がお若く、新しいものを歓迎されているという具体的な事例を聞き、励まされております。
楽譜では難しそうなリズムに見えても、実は歌いやすい曲もあります。そのような曲になじんでいただくために、将来的には演奏例の録音を計画しております。曲を聴いて、耳から覚えていただければ、楽譜上の難しさも気にならず歌っていただけると思います。
Q 伴奏のアレンジなどに自由さを感じます。使う楽器やテンポなど、各教会の個性で演奏できそうですね。
メロディーと歌詞は楽譜通りが基本ですが、伴奏は教会の必要と実情に合わせてアレンジしていただいて結構です。ただ、自らアレンジできる教会は多くないと思いますので、収録曲の大部分は、楽譜をそのまま演奏すればよいようにしてあります。
福音讃美歌協会では今後、やさしい伴奏楽譜集の発行や、アレンジを加えた演奏の紹介、奏楽者向けの講習会など、教会の讃美をより豊かにするために仕える働きを考え、継続してまいります。
◆次回のテーマは「出版に向けた作業」