あなたに贈りたいクリスマスの本
―キリスト教書店に行こう! ◆愛餐の喜びを

山田隆司
東京都  新宿オアシスブックセンター スタッフ

農林水産省は〝日本食文化〟のユネスコ無形文化遺産への登録実現を目指しています。「和食」と呼ばれる日本独自の料理群は、現在、海外でも広く知れ渡り高く評価されています。
日本には四季折々の美しい自然があり、食文化もそれと深く調和しながら育まれてきました。著者は、八ヶ岳における十二か月の季節の移ろいの中で、一月の「おせち料理」に始まり、四月の「お花見弁当」、十二月の「ローストチキン」まで、毎月旬な食材を豊富に用い、日本料理の大切な要素である季節感を表現しています。また、伝統と新しさが豊かに融合した料理で私たちを大いに楽しませてくれます。
パステルカラーの水彩画と心温まる軽やかにまとめられた文章に、私たちは招かれ、おもてなしとくつろぎを感じることができます。
巻末にある「松村家のおいしい食卓 レシピ」も愛情いっぱいです。そして、文中に聖書箇所がちりばめられ、「食」という恵みが描かれています。食事の交わりは招く者にとっても招かれる者にとっても喜びです。それは言わずもがな、創造主なる神から与えられる祝福であると実感します。
「愛餐」―ともに食事をするという交わりは、クリスチャンにとって、いつか神の天の御国においてイエス・キリストに招かれてあずかる大祝宴の地上での前祝いのようなものである。本書を読み、八ヶ岳南麓の美しい自然の中で食事をともにする触れ合いを思いながら、私自身の結婚式に証人となってくださった恩師より、そのように教えていただいたことを思い出しました。
本書は、食べることの意味を再考するきっかけを与え、愛餐という喜びの再発見へ招いてくれます。この冬、皆様がご家族やご友人とともに楽しい食卓を囲み、素敵なクリスマスと素晴らしい新年をお迎えくださいますように。

『八ヶ岳の12か月の食卓』
松村登世 著 64頁 1,155円