こころに写るもの 6
岩渕まこと
5月、6月と我が家には記念日が続きます。それは妻の誕生日と結婚記念日。以前どちらかをうっかり忘れてしまったことがありましたが、その日は、辺りはにわかにかき曇り、どこからともなく風が立ち、我が家の中に怪しい気配が立ち込めました。妻から「今日は何の日か忘れた?」と言われたかどうかは定かではありませんが、「ウワ! そういえば今日だ!」と気づいた時には、すでに時を逸していました。私にできる挽回策は、次の記念日に妻が喜ぶ物をプレゼントすることしかありません。ところで女性にとっての記念日の意味や重さは、男の私とはだいぶ違っているようです。いろいろと考えてみると、どうやら「心が通い合っているか、大切にされているか」ということを判断する確認ポイントのようです。男は「夫婦の心が通い合っているのは当たり前だろう」と言ってしまいたくなりますが、それを言っちゃおしまいです。ここで男は口を閉じなければいけません。男性も仕事に追われ、突っ走っているだけじゃなく、時には記念日という駅に降りたらいいと思います。自分にとって妻はどういう存在か、今日までどんな道のりを一緒に歩いて来たのか、ということを記念日くらいは考えてみたいと思います。ある日突然、離婚という二文字を突きつけられる男性が少なからずいるようですが、いつの間にか「ふたりの関わりは変わらない、お前は俺について来る」なんていう誤解をしてしまったのでしょう。記念日を大切にすることは、「日々快晴」の家庭生活に直結します。時にはプレゼントを探して、デパートの中を歩くのも良いものです。