さわり読み 話題の新刊
『心の重荷に別れを告げて』さわりよみ!
ぼくたちが手にする旅行鞄は革でできてるんじゃない。重荷でできてるんだ。
ぼくは身軽な旅の仕方を学ばなければならない。どうしてできないんだと、あなたは思ってるだろうね。〝もっと気楽にやれよ! そんなにたくさん荷物を抱えてたんじゃ、旅は楽しめないよ。なんで荷物をみんな降ろそうとしないんだい?〟と。
でも、あなたがそう訊くのはおかしくないかな。ぼくは同じことをあなたに訊きたい。あなたも荷物を抱え込んでると言われてるんじゃないかい?
今朝もそうだったんじゃないかな。起きてから家の玄関を出るまでに、あなたはいくつもの荷物を抱えて、手荷物引き渡し場にあるカルーセルのところに運んでいった。
え、思い出せない? それは無意識にやってたからだよ。手荷物引き渡し場を見た覚えはないって? そのカルーセルは飛行場のじゃなくて、心の中にあるものだからだ。それにぼくたちが手にする旅行鞄は革でできてるんじゃない。重荷でできてるんだ。
罪悪感のスーツケース。不満のリュックサック。片方の肩に疲れのダッフルバッグをかけ、もう一方の肩に悲しみのハンギングバッグを下げる。
さらに、疑いのバックパック、寂しさのオーバーナイトバッグ、恐れのトランクが加わると、すぐに空港のポーター以上の荷物を引いていくはめになる。これでは一日が終わるとぐったりしてしまうのも無理はない。重い荷物を引きずっていくのは実に消耗するものだ。
あなたがさっきぼくに言ったことを、神があなたにおっしゃっている―「さあ、その荷物をおろしなさい。あなたは負う必要のない重荷を背負っているのだよ」と。
「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい」と主は招いておられる。「わたしがあなたがたを休ませてあげます」(マタイの福音書11章28節)