ずっこけ宣教道 第7回 アメリカ篇

松本望美
北朝鮮宣教会所属

 韓国人のボスに「この前、テキサスのミッドランドに行ったとき、一人の日本人クリスチャンに会ったよ」と言われ、後日、その彼女Nさんから「私も北朝鮮について祈っています」とメールが来たことから、私とNさんとの交流が始まり、私はミッドランドまで彼女に会いに行くことになった。

 ブッシュ大統領のローラ夫人の故郷・ミッドランド。上空から見えた地は、ほぼ琥珀色。他は点々と家が置かれ、他はな~んにもない!「日本語忘れちゃって、なかなか出てこないんだ。ごめんね!」というNさんは、このテキサスの片田舎で、たった一人の日本人クリスチャンとして信仰を守り、クリスチャンが迫害されている国々についてお祈りしているのだという。

 そんなNさんご一家の温かいおもてなしを受けた。私たちは、毎日夜遅くまで話した。

 「ここにたくさんの中国人のクリスチャンがいるのよ。紹介するわ」と言われ、何人かと会うことになった。

 彼らは、年齢こそまだ若いが、中国の地下教会でかつて大きな力を持つ指導者たちで、アメリカに亡命したのだった。

 その中に私たちが親しく「スーちゃん」と呼んだ女性がいた。年齢は私よりも少し若いが、中国のある地域の数千人の地下教会のリーダーだった。

 影響力のある彼女は何度も投獄された経験がある。とても人懐っこい彼女からは想像もできないほどの信仰の道のりだった。

 スーちゃんがPC(パソコン)を立ち上げ、「これは、死刑の判決を受けた牧師」とか「これは、外国から届いた聖書をリーダーたちが受け取っている場面」といろいろなものを見せてくれた。

 また、その足で、ある中国人の家を訪問した。

 中国で指名手配になり、亡命してきた若い一家だった。彼は文書伝道に力を入れており、いわゆる「アメリカや海外各地にいる中国人留学生たちに向けての宣教」だった。

 彼らが海外で福音を聞き、祖国に戻っても、そこにとどまっても影響力のあるクリスチャンとなることをビジョンに掲げていた。

 力強い信仰に圧倒されたテキサスの片田舎。

 まさかこの旅で、そんな影響力のある中国人クリスチャンたちに出会えるとは思ってなかった。

 「たった一人しか日本人クリスチャンはいないけど、そんな彼らと交わることで励まされている」というNさん。

 「中国には戻れないけど、いつも祖国のために祈っている」というスーちゃんと若い一家の姿が私の心に訴えたものはとても大きかった。