ずっこけ宣教道 第8回 インド篇
松本望美
北朝鮮宣教会所属
ずいぶん前の話であるが、インドはカルカッタ(現・コルコト)に行ったことがある。
カルカッタはインドの西に位置する第二の都市。
まずは一人でカルカッタへ。荷物がなぜかバングラディシュに行ってしまったというハプニング発覚後、仕方なく市内のごった返す街の喧騒にのみ込まれた。
タクシーや人、リキシャー(人力車)が行き交い、現地の服を着ていても、外国人だとわかると追っかけてくる物乞いも多く、空気が悪く、歩いているうちに白いシャツは薄黒くなった。
数日後、日本からやってきた友人三人(大お姉さま方)と駅で落ち合い、それから郊外にある孤児院などを訪問した。
訪問先の人々の瞳はキラキラと輝き、私たちも純粋さに心打たれた。
ヒンズー、イスラム、キリスト教が一緒になって共同生活している孤児院や、カトリックの神父とシスターが結婚して(!)運営している施設、また大勢のバングラディシュからの難民をお世話している方のもとに行ったが、そこには人を愛し、人に仕え、そして自分自身も喜びに満ちている働き人の姿があった。
見学先の博物館では、チベット、ネパール、インドへ真理を求める旅をしている日本人青年と出会い、大お姉さま方と伝道大会になった日もあった。
インドと言えば、カレーである。毎日、違う種類のカレーをいただいた。しかも一日三食。
神様感謝します……だが、一日三食……二週間……というのは結構きつかった。
街に出れば香辛料の香りが鼻をつくようにもなってきた。
私は大お姉さま方に聞いてみた。
「もしも神様が、今、目の前に食べたいものを運んでくださるとしたら、何食べたい?」
すると、あるお姉さまは「お茶漬け!」あるお姉さまは「納豆ごはん……」、もうお一人は「真っ白いフワフワご飯に明太子!」……という回答をもらいながら、「やめましょう……」とうつむいた。目の前には、カレーとナンなのだ……。
それから私たちは車の移動の時には、この〈もしもシリーズ〉をするようになった。
「私、今日はお寿司が食べたい~。」「じゃあ、私はネギトロ巻!」と言ったところでカレーしか出てこないというのに……。
大お姉さま方が先に帰国された後、一人残された私は、少し高そうなホテルのレストランに行くことにした。とにかく、カレー以外のものを口にしたかった。No more カレーだ。
そこで、ハンバーグを注文した。
出てきたハンバーグは、鉄板の上でジュージュー言っている。やったね! 神様感謝します!
一口ほおばって絶句した。
「……カレー風味じゃん……。」