となりの人々 11 出漁
森住 ゆき
日本福音キリスト教会連合 前橋キリスト教会会員
海辺に来ると神さまが世界をお造りになった時のことを思い浮かべる。日常的に海を見慣れている方は、あまりそういうことはないのだろうか。年に一度くらいしか海を見ない私は、いつも自動的にしみじみと立ち尽くしてしまう。
先日、テレビであるドキュメンタリーを見た。ハイテク技術がない大昔に、先人が驚くべき手法で巨大な建造物を生み出す過程を再現するという番組。その回はエジプトの竪穴式の墓だったが、30分番組の中で、国際的なプロジェクトチームが知恵を絞って当時の再現に挑戦し、構造物を完成させた。
ところが、私は番組の最初の5分間をうっかり見逃してしまった。そのプロジェクトがそもそもどんな構造のものを造ろうとしているかを教えてくれる5分間を見逃したばかりに、私は彼らの苦労や奮闘の意味をいまいち理解できず、とても歯がゆい思いで番組を見終えることになった。あーあ。最初のたった5分間。でも、聖書でいうなら天地創造のところなのね、と思った。
聖書を持たないままの人生であれば、海を眺めるまなざしもきっと今と違う。海の魚。石油資源。地球の気象。国ごとの利権。それらに今とはまったく別の解釈を加えて眺めているのだろう。最初の5分間を知っているのといないのとでは、人生の景色も味わいもまったく違うと改めて感じる。