となりの人々 3 子どもの世話
森住 ゆき
日本福音キリスト教会連合 前橋キリスト教会会員
子供が生まれてから、3歳くらいまでがとても長かった。幼稚園に入り、娘を預けて初めて家で一人になったほんの数時間もずいぶん長かったけど。
自分とは全く違う時計の持ち主に振り回されて一日が暮れてゆく。時には自分が社会から取り残された場所で、レベルの低いルーティンワークを延々とやっていると感じてしまうことも。
でも決してそんなことはないよ、ということを例えば児童精神科医の佐々木正美先生の著書『子どもへのまなざし』(福音館)という素晴らしい本は教えてくれる。先生は、乳幼児期の育児を「人格の基礎工事」に例えておられた。建物が建ちあがってしまえば、基礎はまったく目に見えなくなってしまい、子ども本人の記憶にさえ残らない。子どもはやがて教育を受け、いろいろな能力を身に付けてゆく。それらは建物の柱や床や家具のようなもので、やり直したいと思えばいつでもリフォームは可能だが、乳幼児期の人格の基礎工事だけは、修復がとても難しい。これ以上価値のある仕事は世の中にそうはない。誇りをもって取り組んでください、と。
だいぶ手がかからなくなってやれやれと思ったある日、突然気付く。幼子と歩む日々が、本当はどんなに光栄に満ちて輝いたものだったか。だから、今その真っ只中にいるお母さんたちに、心から声援を送ります。