なぜ今、バックストンなのか なぜバックストン師か

藤村和義
日本基督教団 渋谷教会牧師

 今年は、B・F・バックストンという英国人が来日して、百二十五年になる。彼は、準貴族の家に生まれ、ハロー校、ケンブリッジ大学をトップクラスの成績で卒業し、テニス、クリケットは代表選手だった。最終学年は、新約聖書学の碩学ウェストコットに学んでいる。学力優秀、スポーツ万能で、英国の若者の伝道に最適の伝道者だから英国内で働くべきだと、惜しまれながら、一八九〇年に日本に来られた。

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バックストン師は神戸で日本語を学んだのち、松江で開拓伝道を始めた。そこにアメリカで伝道者としての教育を受けて来た笹尾鉄三郎師などが集まり、日本の後の福音派の指導者の教育の場にもなった。後に、バックストン師は、神戸を拠点として、神学校を開設し、聖会、修養会を開き、日本に教派を超えて、霊的な恵みを求める流れを生み出した。
その後、英国で日本伝道隊を組織し、たびたび来日、長期間滞在して、各地で聖会を開き、日本の福音派を育てた。一九三七年(昭和十二年)バックストン師の七十七歳での最後の来日は、各地で集会が開かれ、多くの人々に感銘を与えた。今回、彼の著作集が編集、出版され、私たちも、彼のメッセージに接することができる。
まず『説教Ⅰ 赤山講話』が出版されるが、笹尾鉄三郎師などが、バックストン師の下に行って、さらに学ぼうとしたのは、この時代のバックストン師である。この説教集を読むと、彼らを惹きつけたのは、このような説教だったと分かる。 
また、バックストン師の人柄が素晴らしく、バックストン師に会うと、イエス様に会ったようだ、と言う人が多かった。内村鑑三も、人類の華だと言った。
本田弘慈師などは、バックストン師はきよめを語ったばかりでなく、きよめを見せた、何がきよめられた生活かを見せた、と言われた。その生涯に裏打ちされたバックストンの説教と講解は、今、学ぶ価値がある。