やっぱり本が好き 読者と本との出会いの広場 対談『銀色のあしあと』編

『読者と本の出会いの広場』

石川了さんおすすめ(日本ホーリネス教団 宇治キリスト教会員)
 この本を買ったのは、今から十年も前なのに、毎年、数回は読んでいる不思議な本である。対談者のひとり、三浦綾子さんによって私がキリスト教会に行くことが出来、三ヵ月後に洗礼を受けるまで導かれたことも、この対談集に惹かれる要因である。

 この本の中にも書かれてあるが、この対談が行われた少し前にテレビで星野さんの特集がNHKで放送された。星野さんのことは妻から聞かされていたし、星野さんの本を二、三冊は読んでいて大変な状況の中で美しい絵を書かれているクリスチャンであることは知っていた。しかし、テレビを見て、同信の奥様と助け合って生み出されている絵と詩、夫婦の睦まじさと希望に向かっておられることに、若かった私たち夫婦は、うらやましさを感じました。健康において、星野さん夫婦や三浦さん夫婦に私たちは勝っているのに。

 本の中で、お二人は「苦しみに合ったことは私にとって幸いでした」の聖書の言葉と共に、苦しみは不幸とは限らない。むしろ病気によって失ったものは健康だけで、そのことで多くの友をも得たとあった。普通の人は、病気をしては嘆き、苦しみに会えば人にあたりちらします。このお二人のように忍耐強く、多くの人々にすばらしい影響を与えていることに拍手をお送りします。

 今年五月、妻の実家が栃木県なので群馬県東村の「富弘美術館」に行ってきました。美しい山々ときれいな青木湖にはさまれた湖岸に村営の美術館がありました。「星野さんは村の宝」と言われているそうです。美術館に着いて、私は、こんなすばらしい環境だからこそ、すばらしい詩や絵が描けるのだろうと思いました。

今回の本は
『銀色のあしあと』
三浦綾子〔対談〕星野富弘
三浦綾子が花の詩人星野富弘を群馬県東村に訪ね、美しい自然の中で、神の愛、苦難の意味について語り合った。日本のみならず、海外でも多くの人の心を捕らえた感動の書。全国学校図書館協議会選定図書

A4変 1600円+税

星野富弘さんのエッセイを掲載
八木重吉に出会う本『八木重吉に出会う本』
重吉の詩だけではなく、その生涯や信仰を紹介。妻、とみこさんのインタビューも収録している。貴重な資料も充実した他に類をみないおすすめの一冊です。

詩:八木重吉 絵:松永 禎朗 写真:小林恵 A5判 1500円+税