やっぱり本が好き <番外編>
編集者と本との出会いの広場 『シネマで知っ得ななみ的雑学』編
『シネマで知っ得ななみ的雑学』で取り上げた映画は二十本。だが、この本を作るためにみなみさんが見た映画は、百本は下らない。さらに、取り上げることにした映画はそれぞれ、少なくとも五回は見たということだから、延べ数にすると多分、二百本を超えることだろう。
編集者である私もその六分の一くらいは一緒に見たが、それはこの仕事の中でももっとも楽しい部分だったと言えるかもしれない。
午前中にみなみさんがビデオを持ってわが家にやってくる。ふたり並んでメモ帳を片手に上映開始。「今のフレーズ、使えるのでは?」と英語を拾うのはもっぱら私の役目だった。みなみさん、実は英語ができすぎて、「え、こんなの誰でも知ってるんじゃない?」と思ってしまうのだ。
お昼になると、わが家のあり合わせでごはんを作る。みなみさんもそうめんだのタマネギだのスライスチーズだのトマト缶だの、その日台所で目に付いたとおぼしき食材を何の脈絡もなく持ってきてくれるので(失礼!)、それを使ってお昼を作るというのが私の密かな挑戦になっていた(というほどのものでもなかったが)。
午後は、その日見た映画をどのように切り取り、料理するかについての作戦会議と、次に取り上げる映画の相談。あとは、みなみさんがひたすら地道に粘り強く、気になる部分は何回でも見直しながら仕事を進めていく。
著書の中で自分のことをちゃらんぽらんのように書いているみなみさんだが、本当はなかなかどうして、努力の人なのである。
(編集者Y.)