わがたましいよ 主をほめたたえよ! 6 賛美を通して福音を――賛美の豊かな教会をめざして
編集部
今回は「賛美の満ちあふれる教会」、そんな表現がぴったりの教会を紹介する。埼玉県坂戸市にある日本ホーリネス教団 坂戸キリスト教会(村上宣道牧師、郷家一二三牧師)だ。
「賛美の豊かな教会をめざしているんです」とは音楽主事の郷家清子さん。
冒頭の「賛美の満ちあふれる教会」と言うにはそれなりの理由がある。礼拝賛美が心から力強く献げられるだけでなく、複数の賛美グループの存在だ。そのうちの一つグロリアクワイアは、教会内の音楽活動の母体ともいえる存在で、教会内外、幅広い年齢層の約三十名のメンバーで構成される聖歌隊。「順風の時もそうでない時も、主を賛美したい」との願いをもって八四年に結成。熱心に練習を重ねながら、多くのコンサートで美しい歌声を響かせてきた。
この日、礼拝のプログラムの中でこの歌声を聴くことができた。そろいの白のガウンを着けたメンバーがならぶ様はまさに壮観。一つとなって心から賛美する姿には言葉には表現できない深い感動を覚える。「いつくしみふかき」の美しい歌声が、汗ばむような初夏の教会堂いっぱいに響き渡る。心に不思議な平安が満ちるのを感じながら、周囲を忘れ、しばし聞き入ってしまった。
聖歌隊が賛美する姿は、とても魅力的で、すばらしい生きた証しですね、そんな印象を郷家さんに話すと、「新来者の中に、一緒に歌いたいという方がいます。クリスチャンのみという枠はつくらず、どなたでも受け入れます。交わりが増え、教会に来る機会もできます。地道で時間はかかるかもしれませんが、そうした方が救いに導かれるため、その存在を大切にしたいと思います。」
賛美の豊かさが一般の人々に波及していくこと。これこそ大きなビジョンだ。
坂戸メサイア合唱団は、そうした願いのもと、十年前に発足、この十一月には、第十回記念公演が予定されている。この日も近隣教会や地域の方々を加え、約五十名が遅くまで練習に励んでいた。
また青年男性のアカペラグループ、カイロスは、若々しいハーモニーで内外から注目されている。音楽の好きな青年たちが、教会員で声楽家の日比野静子姉の指導のもと熱心に練習に励んでいた。リーダーの郷家さん(郷家牧師の息子さん)は「アカペラなので、頼る楽器がなく、一人一人のメンバーの声が大切なんです」と語る。十分な発声訓練に裏打ちされた男性らしい力強い歌声は迫力がある。聖歌はもちろん「スピリットソング」や「豊かな人生の条件」なども歌う。偏りのない選曲、それも一つの特徴のようだ。
「偏りがない」ということは、教会全体の取組みの特徴でもある。この日の礼拝ではもっぱら聖歌が歌われていたが、毎月第一主日の礼拝ではワーシップ中心の礼拝賛美が行われている点にもそれは如実に表れている。
ところでワーシップの親しみやすい歌詞に比べて、聖歌等の文語は若者にはなじみがない。しかし「文語は、リズムがあって覚えやすいが、口語はそうはいかない。文語で賛美した方が心に届くことがあるのでは」と郷家さんは言う。どちらが良いということではなく、主を賛美する思いが表現されたものを、吟味し、選択することが必要なのだ。
さて、忘れてはならないのが、教会学校の賛美グループ、ザ・ウインズ。ちょうどこの日は新しいCDの収録のための練習の日だった。四歳から青年までの約三十名のメンバーが、元気よく全身を使って歌う姿は何とも楽しそう。そして子どもたちの時折見せる真剣な表情には心うたれるものがあった。ザ・ウインズには数多くのファンがおり、各地でコンサートを行いながら、そのパワフルな賛美を通して、主を証しし続けている。
すべての年代の人が、ジャンルにとらわれることなく、心から主に賛美を献げる。その姿はまさに「賛美の満ちあふれる教会」。その歌声はこれからも多くの人を魅了し、励まし続けていくだろう。