わが家の小さな食卓から
愛し合う二人のための結婚講座
第10回 子育てについて語り合う②
夫婦一致した子育て
大嶋裕香
1973年東京生まれ。宣教団体でキリスト教雑誌の編集、校正を手がける。99年にキリスト者学生会(KGK)主事の夫と結婚後、浦和、神戸、金沢と転々としながら年間100~200名近い学生、卒業生を自宅に迎える。KGKを中心に、夫と共に結婚セミナーで奉仕。その傍ら、自宅でパン教室、料理教室を開き、子どもたちにパン作りを教えている。13歳の娘と10歳の息子の母親。
わが家の食卓でしている結婚後の学び。子育てについて語り合うときもじっくり持っています。前回取り上げた「子育てについて共有しておきたいこと」に加え、「どんな父親または母親になりたいですか」「伴侶にはどんな父親または母親になってほしいですか」「子どもが生まれたら、不安なことはありますか。期待することはありますか」という質問にも答えてもらいます。「どんな親になりたいか、なってほしいか」については、子どもに尊敬される、信頼される親という答えが多いように思います。夫はこの質問に対して、「子どもが小さい頃は、きちんと『ごめんなさい』と『ありがとう』を言わせる父親になりたかった。そうさせる責任が自分にはある。妻が子どもにガミガミ言わなくてもいいようにね」と答えます。今は、「『お父さんはどう思う?』と子どもに意見を聞かれる父親になりたい」そうです。私は、「子どもを支配しない、子どもの選択を尊重する母親になりたい」と思っています。
また妻の私に対して、夫は「いい妻でいてくれたら、いい母だと思う」と答えます。私は夫に対しては、「子どもを支配しない、子どもの選択を尊重する父親になってほしい」、そして「子どもと一緒に時間を過ごす父親になってほしい」です。多忙な中でも息子とキャッチボールをしたり、娘の買い物につきあったりする夫の姿を見ると、信頼と尊敬が増すのです。
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さて「子どもが生まれると、不安なこと」ですが、ありとあらゆる問題が飛び出します。それこそ子どもの幼稚園、保育園、学校選び、受験、結婚、信仰継承……具体的には携帯電話をいつ持たせるのか、異性との交際についてなど、夫婦で話し合いたい問題が山積みです。中でも「仕事と育児との両立」、そして「しつけ」に関しての不安を訴える方が多いように思います。
前者については、「仕事について話し合う」の回で取り上げたように、夫婦でよく話し合い、お互いの助け手、味方であり続けること、「いつもありがとう、よくやっているね」とねぎらいのことばをかけ合うことがポイントではないでしょうか。
「しつけ」に関しては、「どんなふうにしつけたらよいかわからない」と不安に思うようです。わが家のしつけのポイントは、「夫婦で一致している」ということでした。
よく「どちらかが子どもを叱ったら、どちらかが慰め役にならないといけないのでは?」と質問を受けます。しかし、大事なのは「お父さんが怒っているときはお母さんも怒っている」という一致した姿勢だと考えています。そうでないと、子どもは混乱しますし、やさしい親のほうになびいたり、逆に親を軽んじたりすることもあるからです。
わが家では、私も夫も一緒に怒り、「ごめんなさい」と謝ったら、一緒に赦し、そのあとは一緒にたくさん遊びました。夫は怒るととてつもなく怖い父親ですが、子どもとよく遊ぶとてつもなく面白い父親でもあります。子どもが小さい頃は、投げ飛ばしごっこやおかしな動物ごっこなど、大爆笑する必殺の遊びを次々に開発していました。
また、子育て中にはいろんな声が気になります。「母乳で育てるべき」、「そんなに抱っこしたら抱き癖がつく」、「もっとこうしたらいいわよ」など、親切心で言われることばに混乱します。そんなときも夫婦でよく話し合い、一致した見解を持っていれば揺らぐことはありません。
「うちは夫婦で話し合ってこうすることにしています。夫がこうしなさいと言うので、それに従っています」と妻が答えるといい、と夫婦でアドバイスしています。妻のほうが育児に関わる時間が多く、いろんな意見を聞くことが多いのです。夫が妻の心を守ってくれることは、何よりも大きな育児参加ではないでしょうか。
子どもが生まれたらなんだか大変そう、と思われるかもしれませんが、「期待すること」もたくさんあります。皆さん、「夫婦の愛情が深まりそう」「わが子に信仰を伝えていくことに期待を持ちます」「自分の親に対する見方が変わりそう」「自分が成長できるのでは?」などの期待を話してくれます。
子育ての指針である聖書が与えられていること、どんな不安も期待も、何でも話せる父なる神がいらっしゃること、ともに親として成長できる伴侶が与えられていること、なんとなんと感謝なことでしょうか。