エクレシア
――欧州に集められた
神の家族を訪ねて 第1回 ミラノ邦人宣教のはじまり

内村伸之
ミラノ賛美教会牧師

私が宣教師として遣わされているミラノは、ファションなどの文化トレンド発信地として知られるイタリア北部に位置する商工業都市です。このミラノには、六千人ほどの日本人が在住しています。しかしながら、2003年に私たちが宣教を開始するまで、日本語教会は一つもありませんでした。
私がそのことを知ったのは2000年の夏でした。チェンバロ奏者である妻がミラノへ留学することをきっかけに、その地で礼拝を守ることのできる教会を求めて祈っていました。すると、神様は日本語の通訳者がいる韓国教会に妻を導いてくださったのです。その教会は日本人留学生なども礼拝をともにできるようにと、日本語同時通訳を開始したところだったのです。それにより妻は、ミラノへ着いた週から主日の礼拝を守ることができたのです。その教会こそが、今、私が牧会をするミラノ賛美教会です。
当時私は、都立高校の美術教師でした。休暇のたびにミラノへ留学中の妻のもとを訪れ、ともにこの韓国教会の礼拝に参加しました。私はそこで、本当に多くの日本人留学生や勤労青年、企業派遣の方々がミラノに暮らしており、夢を抱いてきた海外生活において様々な試練と向き合っている現実を目にするようなりました。そして、神様が日本語で福音を伝える者を求めておられることを知りました。
あるとき私は祈りの中で、神様から黙示録3章20節のみことばを与えられました。「見よ。わたしは、戸の外に立ってたたく。だれでも、わたしの声を聞いて戸をあけるなら、わたしは、彼のところに入って、彼とともに食事をし、彼もわたしとともに食事をする」。このみことばが、私自身にイエス・キリストが直接書いてくださった手紙を読むかのように、たましいに迫ってきたのです。
私は代価を払って主から朽ちないものをいただきたいと、泣きながら祈っていました。そして、欧州における邦人宣教への召命と確信が与えられたのです。