クリスチャンホームと教会 みことばに養われたクリスチャンホームを
レポート名古屋緑福音教会
名古屋緑福音教会(日本キリスト教兄弟団)は、都市教会としては大きくも、また小さくもないといった規模だが、興味深いのはその人数の割合に対するカップルの比率。毎週の礼拝には六、七十人が集い、そこに二十組のカップルがいる。男性が少ないと言われる日本の教会事情を考えれば、突出してその割合が多い。なぜだろうか。増田育生牧師は「特別な方法があるわけではなく、祈りとただ神の業です」と言うが、よくよく話しを聞くと、牧師のビジョンの根底にある意識が浮かびあがってくる。
この教会へ増田牧師が赴任したのは、十二年前のことである。「教勢を心配しなくてもいい」大きな教会でのチーム牧会から一転、三十数名(当時は女性がほとんどだった)が集う教会をひとりで牧会することになった。その牧会について思いをめぐらしていたとき、「わたしがあなたとともにいるのだ。……この町には、わたしの民がたくさんいるから」(使徒一八・一〇)のみことばが与えられたと言う。
「自分ひとりが努力したらとか、一生懸命に伝道したら信徒が増えていくのではなく、すでにこの町、この緑区に主の民がいて、私はただ語り続ければいいと気がついたのです。」
増田牧師は、教会形成とはクリスチャンホームの形成だと考えている。遣わされた町を形成しているのは「家族」であり、また教会を形成し強固にするのも「家族」であろう。「特別なことをしているわけではない」が、教会形成に欠かせない「家族」を大切にするというその意識が、現状への足がかりとなっているのではないだろうか。
そのうえで重要なことは、「家族」がみことばによって地固めされていることだ。この教会では毎週、礼拝前に小学科、中高科はもちろんのこと、大人のためのクラスが四つある。「ベテル聖書研究」のテキストを用いて、「救済的かつ体系的に」聖書を学んでいく。偏った視点を持つことなく、ディボーションによって個人でもみことばに養われることが目的だ。
受洗するためにも、女性がクリスチャンでない彼を連れてきたときも、牧師夫妻が直接、半年間をかけて、聖書をじっくりと教える。それによって足腰が強いクリスチャンホームが確立し、子育てにも影響してくるのだ。
妻たちが聖書を学び、訓練された信仰者となったことが、夫が教会に来るようになったひとつの理由とはいえ、夫が救われるようになったのは、彼女たちが、がんばったからではないと牧師は強調する。多くの戦いがある日本では、さまざまな副次的理由があるからだ。だからこそ「祈り」が必要なのだ。
「みことば」と「祈り」、この原点に立ち、「主の民」のために、教会は整えておくことが大切なのだろう。