クリスマスに届けたい素敵な本とメッセージ ■うたと祈りをつづった詩画集

 『それだけで美しい   』
沢知恵
歌手

うたうことは生きること
生きることはうたうこと
神さま
私はうたわずにはいられません。
今日もこうして生きている喜びを。
まぶしい太陽、そよぐ風、川のせせらぎ、虫の羽音……。
すべてのいのちがあなたをほめたたえています。私もあなたがつくった膨大な作品のうちのほんのひとつ。
聞こえますか? 私のうたが。
喜びにあふれる私の声が。
(『それだけで美しい』本文より)

*   *   *

今年のクリスマスは、いままでのどのクリスマスとも違う気持ちで迎えることになりそうです。
東日本大震災を経て、確かな何かを、よって立つべきことばを求めて、これほどまでに切実にイエスさまの誕生を待ち望むクリスマスはなかったのではないでしょうか。
詩画集『それだけで美しい』は、私が過去二十年の間につくったうたの歌詞に、日々の祈りを添えてつづったものです。CDは二十枚以上出してきた私ですが、本は今回が初めて。記念すべき本が、こうして私のうたの延長に生まれたことをうれしく思います。
敬愛する銅版画家の奥勝實さんの繊細で力強いアートと夢の共演ができて、最高にしあわせです。
できあがった本を手にしたとき、「うわあ! これが本屋さんにあったら、私、買っちゃう。何冊も買って、親しい人たちにプレゼントしたくなっちゃう!」と思わず叫んでしまいました。こういうのを親バカならぬ「作者バカ」というのでしょうか。
自分でつくったことを忘れてしまうほど、この本をめくりながら、心癒されています。

*   *   *

本を出版することは東日本大震災の前に決まっていましたが、書き始めたのは震災の後。おのずと、祈りは被災したお一人おひとりへの思い、そして、私がお一人おひとりに寄り添いたい願いと重なるものとなりました。涙しながらつづったページもあります。さよならを言えないまま生き別れた大勢の人たち、ことに小さい子どもたちを思うと、胸がしめつけられました。
「神さま、どうして? どうしてお見捨てになったのですか?」叫びはうたになり、うたは祈りになりました。飢え渇きをしのぐように毎日聖書を開き、みことばに救われた日々でした。
震災がなかったとしても、私たちは生きづらい時代を生きています。いつも何かに追われ、自信が持てず、人と人の距離が難しい。この本は、そんなあなたにぜひ手にとってもらいたい。心弱っているあなたの大切な友だちや家族に、そっと手を添えるようにしてプレゼントしてほしいです。
三曲のピアノインストゥルメンタルCD付きです。ことばのない私のうたもお楽しみいただきながら、あたたかい飲み物でもいかがですか。